ウエアラブル端末と専用インナーシャツ、各端末のデータを無線で収集する親機
ウエアラブル端末と専用インナーシャツ、各端末のデータを無線で収集する親機
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インナーシャツの背中に装着するウエアラブル端末
インナーシャツの背中に装着するウエアラブル端末
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インナーシャツは肋骨部分に心拍センサーを備える
インナーシャツは肋骨部分に心拍センサーを備える
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iPadの専用アプリケーションの画面
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 アディダス ジャパンは2014年5月7日、ウエアラブル端末を利用してトレーニング時のスポーツ選手の状態を管理するシステム「miCoach elite(マイコーチ エリート)」をプロサッカークラブの横浜F・マリノスが導入したと発表した。イタリアSerie AのAC MilanやドイツBundesligaのBayern München、米Major League Soccerの全クラブの他、スペイン代表、ドイツ代表、メキシコ代表、アルゼンチン代表といったナショナルチームなども使用しているシステムである。アジアでの導入は横浜F・マリノスが初という。

 同システムでは、「プレーヤーセル」と呼ぶウエアラブル端末を専用のインナーシャツに装着して選手の状態を測定する。端末はGPSや加速度センサー、ジャイロセンサーなど、インナーシャツは肋骨部分に心拍センサーを備えており、選手の心拍数やランニング時の加速減速、速度、走行距離、および位置情報などのデータを取得する。各端末が取得したデータは、無線で「ベースステーション」と呼ぶ親機に送信する。無線の方式は非公開だが、伝送可能な距離は80m程度という。トレーニングコーチは「ダッシュボード」と呼ぶiPadの専用アプリケーションで親機にアクセスして、各選手の心拍数や運動量などをチェックすることが可能だ。例えば、紅白戦で心拍数が上がりすぎている選手を確認して交代させる、といった使い方ができる。

 親機は収集したデータをインターネット経由でクラウド上のサーバーに送信する。蓄積したデータは、選手の運動能力やコンディションなどを表す指標としてWebツールで分析することが可能である。例えば心拍数と運動負荷の関係を分析した場合、心拍数が上がっているのに運動負荷が小さい(つまり“燃費”が悪い)選手や、心拍数が上がらないのに運動負荷が大きい(“燃費”が良い)選手を把握して今後のトレーニングにフィードバックする、といった使い方ができるという。

 横浜 F・マリノスは2013年末から同システムを試験導入しており、現在はトレーニング時の走行距離や心拍との関係、どれだけスプリント(短距離のダッシュ)を行っているか、といったデータをチェックしている。今のところ選手の起用やチームの戦術への活用には至っていないが、これまで十分に把握できていなかった各選手の運動特性などが見えてきたという。