富士電機のコア技術と注力分野のイメージ(図:富士電機)
富士電機のコア技術と注力分野のイメージ(図:富士電機)
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 富士電機は2014年4月24日、2013年度通期(2013年4月~2014年3月)の連結決算を発表した(決算短信のPDF)。売上高は前年同期比1.9%増の7599億円、営業利益は同50.7%増の331億円だった。当期純損益は、前期に繰延税金資産の計上があった影響などにより、前年同期比25.7%減の196億円となった。

 部門別には「パワエレ機器」、「電子デバイス」、「食品流通」は前期を上回ったものの、「発電・社会インフラ」、「産業インフラ」、「その他」は前期を下回った。中でも売上高の伸び率が高かったのはパワエレ機器で、前年同期比12%増の1655億円だった。この部門の営業利益は前年同期比約340%増の54億円(前年同期比42億円増)だった。

 例えば、国内外でのインバーター・サーボの需要増に加え、鉄道車両用電機品の海外大口案件が売上増に寄与したという。メガソーラー向けパワーコンディショナーや、データセンター向け電源設備などの需要が増加し、売上高や営業損益の増加を後押しした。

SiCなどの開発に注力


 決算発表の他、パワー半導体やパワーエレクトロニクス、熱技術分野の強化策を明らかにした(発表資料)。2013~2015年度にかけて約130億円を投じ、国内の3拠点に開発棟を建設する。

 技術開発の主要拠点である東京工場には、「グローバルマザー開発拠点」と位置付ける研究開発棟を建設する。投資額は約65億円で、完成は2015年10月の予定。次世代パワー半導体のSiCを適用したパワエレ機器の開発に注力する。これに加えて、計測技術や冷熱技術を組み合わせたシステムの開発にも力を入れる。

 パワー半導体事業の主要拠点である松本工場には、技術開発センターを建設し、工場内に分散配置している技術・開発部門を集約する。投資額は約48億円で、完成は2015年3月の予定である。技術開発センターの建設により機能・人材を集約し、SiCパワーデバイスや高性能のSi IGBT、車載関連製品などの開発を加速させる狙い。

 配電・制御機器などを担う器具事業の主要拠点である吹上事業所にも開発棟を建設する。事業所内に分散配置している評価試験機能を集約するのが目的である。投資額は約18億円で、2014年11月の完成を予定する。

 この開発棟は、新エネルギー市場向けや、アジア・中国市場向け新製品・新技術を創出する「グローバルマザー拠点」として位置付ける。設備自動化や設備能力の増強によって、試験評価の効率を高めて開発期間の短縮を図るという。