宇宙航空研究開発機構(JAXA)とナビコムアビエーション(本社東京)は、「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」(後述)に対応し、かつヘリコプターに搭載しやすい動態管理システムを、ナビコムアビエーションが製品化したと発表した(図1、ニュースリリース)。

図1●「搭載性向上型ヘリコプター動態管理システム」の表示画面の例
画像:ナビコムアビエーション
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* 動態管理システム 地上の基地局に設置したパソコンなどに地図とともに航空機の位置や飛行軌跡をリアルタイムで表示させ、航行中の航空機がどこを飛んでいるのか監視できるようにするシステム。航空機に搭載した地図情報表示装置から衛星電話通信などを介して航空機の情報を地上局に送信する。

 D-NETは、地震などの大規模災害が発生した際に、救援活動をより効率的かつ安全に実施できるようにするシステムだ(図2)。被災地で救援活動に当たる航空機と地上の運行拠点、災害対策本部などにおける情報の伝達・共有をデータ通信化することで、それを実現する。JAXAが消防防災関係者やドクターヘリ関係者と連携して研究開発を進めているもので、共有すべき情報を「D-NETデータ仕様」として標準化し、災害対応機関や動態管理システムのメーカーなどに対してJAXAが提案活動を実施している。

図2●D-NETシステムの概要
画像:JAXA
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 こうした情報の伝達・共有は、現状では一般に、音声による無線通信やホワイトボードなどを使って実施されている。このため、航空無線による音声通信が難しい状況では情報の伝達・共有ができない、災害の規模が大きくて多数の航空機が集結した場合の状況把握が難しい、などの課題があった。D-NETでは、こうした情報の伝達・共有をデータ通信化することでこれらの課題を解決する。さらに、救援活動に当たる各航空機の機能や性能に応じて最適な任務を迅速に割り当てられるようにもなるという。