富士キメラ総研は、2013年11月~2014年1月における中国のスマートフォン市場と主要メーカーの動向に関する調査結果を発表した。

 中国のスマートフォン市場は2012年に2億6000万台に拡大し、携帯電話機市場に占めるスマートフォンの比率も50%を超えた。2013年は前年比73.1%増の4億5000万台となった。フィーチャーフォンからの移行だけでなく、スマートフォンの高性能化が進んだことで2012年以前に購入したユーザーの買い替え需要が喚起された結果だ。2014年は第4世代通信(4G)の普及によって需要拡大が続くと予想され、市場は5億5000万台となる見込み。携帯電話機に占めるスマートフォンの比率も2014年には90%近くに達すると予測される。

 携帯電話機の契約数ベースではいまだにGSMなどの第2世代通信(2G)の比率が高い。そのため、今後は第3世代通信(3G)や4Gへの移行に伴うスマートフォンの大きな潜在需要がある。端末の低価格化も急速に進んでおり、地方都市や農村などの低所得者層への普及も期待されるという。

 富士キメラ総研によれば、中国スマートフォン市場の主役は、もはや米Apple社や韓国Samsung Electronics社などのグローバル企業ではなく、地場のスマートフォンメーカーとなった。各社は、フィーチャーフォンの時代にはグローバル企業の後塵を拝していた。だがAndroid OSの登場や3G化を契機に、スマートフォンへの移行を順調に進め、短期間で飛躍的な成長を遂げた。

 スマートフォン市場が立ち上がったばかりの2011年には、中国メーカーの中でもHuawei社、ZTE社、Lenovo社、Coolpad社といった大手メーカーが中心だった。ここにきてXiaomi社やOppo社などの中堅メーカーもスマートフォンの展開を本格化させており、2012~2013年に実績を大きく伸ばした。これらの企業は、かつてフィンランドNokia社や米Motorola社などのグローバル企業が中国に構築してきた部品メーカーのサプライチェーンやEMS拠点などを活用することで急速に伸長しているという。

 こうした中国メーカーはブランドイメージの向上などを目指し、日本メーカーの部品を積極的に採用する傾向がある。カタログや広告では「シャープのIGZO採用」「ジャパンディスプレイのセミインセルを採用」といった具合に、消費者へのアピールを行っているという。基板や受動部品などでも、薄型化を実現するために日本メーカーの製品を積極的に採用する傾向があるという。