「この機械はまさに、お茶界の救世主だ」――。日本茶普及協会の会長で大妻女子大学「お茶大学」では校長を務める大森正司氏は語気を強めていた。シャープが2014年3月27日に開催した新製品発表会での一幕である。

シャープが開催した「ヘルシオ お茶プレッソ」の発表会の様子。左が日本茶普及協会 会長の大森正司氏

 シャープが発表したのは、茶葉を粉末状に挽いてお茶にする「ヘルシオ お茶プレッソ」( Tech-On! 関連記事)。1台で茶葉を「挽く」、「沸かす」、「点てる」を実現できるお茶メーカーだ。これまで茶殻として廃棄していた分もお茶にできるため「急須でいれたお茶に比べて、栄養価の高いお茶を作れる」(シャープ)とする。

 さらに、シャープのお茶プレッソは茶殻は出ない。大森氏によれば「茶殻の処理が面倒で、急須でお茶をいれるのをためらってしまう人が多くいる」という。

「挽く」と「点てる」が難しい

 実は、2014年はお茶を日本に伝えたとされる栄西禅師の没後800年に当たる。栄西は鎌倉初期の1191年に宋から帰国する際、日本にお茶を持ち帰った。栄西は、お茶の効用からお茶の製法などについて著した「喫茶養生記」を1214年に執筆している。

「ヘルシオ お茶プレッソ」で挽いた茶葉の粉末を使って点てた抹茶

 それから長い時を経て、シャープが“お茶”に着目した製品を発想したのは「約2年前」(同社 健康・環境システム事業本部 調理システム事業部 新規事業推進プロジェクトチーム チーフの田村友樹氏)。「当初はコーヒーも検討したが、海外勢を中心に競合がひしめいており独自性を打ち出しにくかった。ならば、日本らしさや健康など訴求できるお茶メーカーを開発しようと方向性を固めた」(同氏)。