石黒氏(左)と山田氏(右)
石黒氏(左)と山田氏(右)
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 米Apple社がiOS 7の目玉機能の一つとして搭載したiBeacon。Beaconモジュールと呼ばれるBluetooth Low Energyに準拠した発信機からIDを発信し、この近くを通りがかったiOS機器がこのIDに応じた動作をするというものだ。一般には、店舗にBeaconモジュールを設置して、入店した客にクーポンやポイント付与したりする用途での利用が期待されている。そんな中、動くモノやヒトにBeaconモジュールを付けるという発想を提案するのが、ACCESS社取締役 専務執行役員 兼 最高技術責任者(CTO)の石黒邦宏氏とスマートデバイス事業部スマートセンサー事業推進室 室長の山田淳一氏だ。両氏にACCESSのiBeacon事業について聞いた。要旨は以下の通り。

 ACCESSは2014年1月30日に「ACCESS Beacon Framework(ABF)」を発表した。ABFでは、Beaconモジュールに加え、iOS向けのiBeacon対応アプリケーションソフトウエア、モジュールの管理、アプリへの情報配信までもを一括して提供する。例えば、アプリの場合、ACCESSが用意するポータル画面上で表示したいクーポンの画面やロゴなどを設定すれば、それがユーザーのアプリに表示される。

 これまでもBeaconモジュールの提供や、アプリ開発などを個別に提供する企業はあったが、iBeaconアプリの開発から設置までに必要とする項目をすべて包括的に提供する企業は最初ではないか。ABFの発表後、エンドユーザーである流通業からの問い合わせが多いかと思っていたが、iBeaconを顧客への提案に加えたいシステムインテグレーターからの問い合わせが多いのには驚いた。

 現在は流通業を中心としたクーポン配布やスタンプラリー、お知らせ通知などのサービスメニューをそろえている。しかし、今後はゲーム分野など顧客からの要望に応えながら、サービスメニューを拡充していきたい。

 ACCESS社内で議論していて、大きな可能性を感じているのは、ヒトやペットなど、動くものにBeaconモジュールを付けていくというサービス。例えば、児童や特別なサービスを必要とする人などが持ち運べば、登下校の管理や、先回りサービスなどを実現できる。Beaconモジュールは電池駆動で1年動作できるし、小型・軽量なので持ち運ぶことについての負担は少ない。振動発電や太陽電池などと組み合わせれば、電池交換なく使えるシステムも実現できるかも知れない。