実際の脊髄損傷の患者が今回のロボットを利用して歩行している様子
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「コントロールクラッチ」と呼ぶ杖のボタン操作でロボットを動作させる
「コントロールクラッチ」と呼ぶ杖のボタン操作でロボットを動作させる
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ロボットを取り外した様子
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テムザック・グループとITRIの提携の様子
テムザック・グループとITRIの提携の様子
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 テムザックの研究開発子会社であるテムザック技術研究所は2014年3月24日、台湾の工業技術研究院(ITRI)が開発した歩行支援ロボットの日本での商品化を目指し、ITRIと鳥取大学医学部附属病院、早稲田大学理工学術院ヒューマノイド研究所、アダチなどと共同で実用化プロジェクトを始動すると発表した。「今後1~2年での商品化を目指す」(テムザック技術研究所 代表取締役社長の檜山康明氏)意向だ。

 ITRIが開発した歩行支援ロボットは、歩行が困難な人が装着し、股関節や膝関節のパワー支援を行うもの。「コントロールクラッチ」と呼ぶ杖を使いながら動作させる。具体的には、利用者がコントロールクラッチに付いているボタンを利用して、腰および下肢に装着したロボットの動きを操作できる。

 利用者の筋電位を利用してロボットを動作させる方式ではない。このため、「低コストでの実用化が可能」(テムザック 代表取締役の高本陽一氏)である他、「構造がシンプルで着脱が容易」「完全な麻痺状態で筋電が得られない患者にも適用できる」(いずれも鳥取大学医学部附属病院)といった利点があると説明する。

 今回のプロジェクトでは、ITRIがベースとなるロボットの提供や開発協力を実施。テムザック技術研究所が商品化に向けたロボットの改良や機械・制御設計を行う。鳥取大学医学部附属病院は、臨床や医学的な知見の提供を担い、早稲田大学理工学術院ヒューマノイド研究所は歩行制御などのロボティクス技術の知見を提供する。手術支援ロボット「da Vinci」の国内販売代理店でもあるアダチは、実用化時の販売を手掛ける。「研究開発だけではなく、販路まで含めビジネスを手掛けるためのプロジェクトだ」(テムザック技術研究所の檜山氏)と位置付ける。

 テムザック技術研究所は、医療ロボットなどの研究・開発を目的にテムザックが2014年2月に鳥取県米子市に設立したばかり。同社は鳥取大学医部附属病院と自動推進式内視鏡の共同開発を進めており、テムザック技術研究所の設立によって共同研究・開発をさらに加速させる狙い。今回の発表はその第1弾となる。