3月7日に開かれた調達価格等算定委員会で公表された太陽光(10kW以上)の買取価格の委員長案(出所:経産省)
3月7日に開かれた調達価格等算定委員会で公表された太陽光(10kW以上)の買取価格の委員長案(出所:経産省)
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 経産省が3月7日開いた調達価格等算定委員会で、委員長案として、2014年4月以降の新しい買取価格が示された。それによると、10kW以上の太陽光発電の価格は、1kWh当たり税抜きで32円と今年度の36円から4円引き下げる。税込みでは34.56円となる。月内に茂木敏充経産相が正式に認定する見込みだ。

 2014年度の買取価格を巡っては、「円安などの影響で、太陽光パネルなどの部材は下げ止まっている」との声があり、実際に経産省の調査でも、2012年10~12月期と比べた2013年同期の1kW当たりのシステム費用は、1MW以上のシステムでは、28万円から30万5000円に上がっていた。ただ、同省が実施した「報告の徴収」の際に得られた最新のデータによると、1MW以上のシステムでも、同期間の比較で同31万6000円から27万5000円に下がったという結果となり、調達価格等算定委員会では、この数字を採用した。

 また、太陽光発電設備の設備利用率について、これまでは固定価格買取制度(FIT)開始前に行われていた実証事業の実績データを基に「12%」という数値を採用してきたが、今回、FIT開始後に運転開始した設備からのデータから、設備利用率が平均で13.6%に上昇していることがわかり、2014年度の価格算定根拠として、「13%」を採用した。

 経産省は、システム価格の低下、設備利用率の向上に加え、運転維持費が年間・1kW当たり0.1万円下がったことも公表。こうした数字を積み重ね、32円に引き下げても、「IRR(内部収益率)6%」という従来通りの事業性を確保できるとの結論に達した。委員長の提案もこうした認識を踏まえている。

 買取価格の低下は、メガソーラー事業にとっては、マイナス要因ではあるが、税抜で1kWh当たり「32円」という買取価格は、「予想した通り」という声が大勢だ。「これまでの買取価格の数字を見ると経産省は偶数が好きだから、税抜で34円か32円。34円ということはないから、32円だろう」というような読み筋が、冗談交じりに話されていた。まだ、コスト削減余地があるとされる基礎や架台に関しては、すでに、32円を想定した製品開発が進んでいる。また、品質や耐久性で不安視されてきた海外製の太陽電池セルやパネルに関しても、品質・耐久性を独自の手法で見極めようとの試みが進んでいる。ほとんどのメガソーラー事業者は、すでに「32円」を前提に動いている。