図●ISO13482の認証を取得したパナソニックのフルリクライニング車いす付きベッド「リショーネ」
図●ISO13482の認証を取得したパナソニックのフルリクライニング車いす付きベッド「リショーネ」
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 パナソニックとダイフクは、生活支援ロボットの安全性に関する国際規格「ISO13482」の認証を、世界で初めて取得した。今回の認証の対象となったのは、パナソニックのフルリクライニング車いす付きベッド「リショーネ」(図)と、ダイフクの配送センター内高速ビークル(無人搬送車)の安全技術「エリア管理システム」。いずれも、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「生活支援ロボット実用化プロジェクト」(2009~2013年度)の成果を用いたものだ。ちなみに、ISO13482が発行したのは2014年2月1日(関連記事)。国際規格(IS)になる前の原案段階(ISO/DIS 13482)の認証は、CYBERDYNE(本社茨城県つくば市)が既に人間装着型ロボット「ロボットスーツHAL福祉用」で取得済みだ。

 今回の認証のための安全性試験は、前述のNEDOプロジェクトの研究施設である「生活支援ロボット安全検証センター」で実施した。認証のための評価については日本品質保証機構(JQA)が担当した。

 ISO13482は生活支援ロボットが必ず取得しなければならないというものではない。ただ、生活支援ロボットという新しいジャンルの製品では、想定もできなかったリスクが潜んでいる可能性もある。このため、ブランドを確立済みの大企業は、ブランド毀損を恐れて製品の市場投入に踏み込みにくい状況になっている。また、リスクアセスメントに対する経験の乏しいベンチャー企業にとっては、そうした新ジャンルの製品の安全性をいかに試験評価していくべきかノウハウが蓄積されていないという問題もある。

 ISO13482の認証は、第三者による安全基準を満たしたという証しである。こうした証しを得ることで、企業は一定の安全性を満たしていることを対外的に説明できるようになり、ブランド毀損のリスクを軽減できると考えられている。また、前述のNEDOプロジェクトでは、安全なロボットを開発するための支援ツールとして、リスクアセスメントのひな形や、設計コンセプトをチェックするシート、各要素の故障率のデータベースに基づき全体の故障率を導くツールなどを用意している。ISO13482ではリスクアセスメントの実施を前提としているが、これらのツールは中小企業が生活支援ロボットの安全性を確保する上で、そしてISO13482の認証を取得する上で役立つものと思われる。