太陽光発電のプレミア買取に影響も(出所:日経BP)
太陽光発電のプレミア買取に影響も(出所:日経BP)
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 経済産業省は2月12日、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の運用改善に関する「買取制度運用ワーキンググループ」を設置すると、発表した。具体的には、FITの下で、電力料金と共に電力利用者から徴収する「賦課金」の算定方法について検証する。賦課金は、電力会社が再生可能エネルギー由来電力を買い取る際の原資となるもので、買取費用から「回避可能費用」を控除して算出する。電力利用者から徴収した賦課金は、再エネを買い取った電力会社に分配される仕組み。

 回避可能費用とは、「再生可能エネルギー由来電力を調達しなかった場合、その再生可能エネルギー由来電力の量に相当する量の電気の発電又は調達に要する費用」のこと。現行の運用では、「回避可能費用」は、一般電気事業者の電気料金の原価算定の際に算定された、火力、原子力を含めた全電源ベースでの変動費などを基礎として算定している。

 この算定方法を巡っては、日本自然エネルギー財団などから、「再生可能エネルギーの調達によって削減されるのは化石燃料を燃料にした火力発電がほとんどで、回避可能費用は過少に見積もられている。実態的に賦課金はもっと少ないはず」との批判が出ていた。ワーキンググループでは、こうした意見も踏まえて、算定方法を検証するものとみられる。

 現在、再生可能エネルギー由来電力の買取費用から分配される賦課金を差し引くと、再エネの1kWh当たり調達費用は電力卸市場の相場よりも、数円、安くなっている。つまり、FITによって調達する再生可能エネルギーは、市場価格より安い。そこで、新電力(PPS)の中には、太陽光発電電力の場合、FITの買取単価に1円、バイオマス発電電力の場合、数円をプレミアとして上乗せして買い取るケースも出てきた。今後、ワーキンググループでの検証によって、賦課金が下がった場合、新電力による再生可能エネルギーのプレミア価格での買取が難しくなる可能性もある。