さくらインターネットの石狩データセンター(出所:さくらインターネット)
さくらインターネットの石狩データセンター(出所:さくらインターネット)
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 データセンター運営のさくらインターネット、千代田化工建設などは、北海道石狩市で計画中されている高温超電導ケーブルを使った直流送電事業を推進するための技術研究組合を設立した。第1フェーズでは、2015年3月末までに太陽光発電所とデータセンターを約500mの高温超電導ケーブルでつなぎ、太陽光発電の電力を直接、データセンターで活用する。第2フェーズでは、2018年3月末までに北海道電力の変電所とデータセンターを約2kmの超電導ケーブルで結び、北電の商用電力を直流送電する。

 設立したのは「石狩超電導・直流送電システム技術研究組合」。経済産業省の委託事業(高温超電導直流送電システムの実証研究)を複数企業が共同で受託したことにより、同事業の運営主体として設置した。他に住友電気工業と中部大学が参加した。実証事業で使うのは、-196℃の液体窒素で冷却すると電気抵抗がゼロになる超電導ケーブル。住友電工が開発した。超電導ケーブルで直流送電することで、交流電力を金属ケーブルで送る、現在の送電システムに比べ、送電時のエネルギーロスを大幅に減らせる見込みだ。

 第1フェーズでは、さくらインターネットの「石狩データセンター」と、同社がデータセンターの隣接地に建設予定の太陽光発電所を約500mの超電導ケーブルで結ぶ。同データセンターは、すでに「高電圧直流(HVDC)給電システム」を導入しており、商用の交流電力をサーバーで活用する際のAC/DC(交流/直流)変換を従来システムの3回から1回に減らすことで電力の利用効率を上げている。実証事業では、太陽光発電所から送電した直流電力を直接、HVDC給電システムに投入し、データセンターの稼働に使う。

 電気を大量に消費するデータセンターの運用に、再生可能エネルギー由来電力を積極的に活用する動きは、米グーグルやアップルコンピュータなど、欧米の大手IT関連企業を中心に広がっている。さくらインターネットの取り組みもこうした流れを睨んでいる。同社では、2020年以降、石狩データセンターから、風力発電設備の多い北海道稚内市まで超電導ケーブルを結ぶなど、道内の再生可能エネルギー由来電力を幅広く活用する構想も掲げている。