スマートアグリネットワークシステムの全景(出所:三菱自動車工業)
スマートアグリネットワークシステムの全景(出所:三菱自動車工業)
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農業用充電ステーション、写真左が充電部、写真中央が蓄電部(出所:三菱自動車工業)
農業用充電ステーション、写真左が充電部、写真中央が蓄電部(出所:三菱自動車工業)
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 三菱自動車工業とニチコンは2014年2月4日、宮城県岩沼市内で、太陽光で発電した電気をLiイオン蓄電池に蓄え、蓄えたエネルギーを電気自動車(EV)に充電する農業用充電ステーションの本格稼動を開始した。

 このシステムは、農林水産省と復興庁による、東日本大震災被災地の農林水産業復興を目的とした研究事業「食料生産地域再生のための先端技術展開事業」の一環。三菱自動車とニチコンが共同で「農村地域における未利用エネルギー利活用実証研究」の分野に応募し、採択された。農業用充電ステーションでは、太陽光で発電した電気を、充電ステーションに設置されたLiイオン蓄電池に蓄え、その電気をCHAdeMO方式の急速充電器を通してEVに充電できる。充電ステーション近隣の農家にEVを貸与し、農家でのEV使用実態や、農地でのEVに蓄えた電気の活用方法などについてデータを収集する。EVを活用して太陽光で作られた電気を農業に用いる試みは、全国で初めての事例という。

 この事業により、化石燃料を使わず、再生可能エネルギー主体にエネルギーの地産地消が可能になること、未電化地域への適用で系統電力に依存することなく再生可能エネルギーを用いた農業が可能となること、EVの活用によってガソリン代を節減し農業生産コストの低減に寄与すること、再生可能エネルギーによる充電ステーションとEVにより農業の電動化の可能性などを探る。

 今後は太陽光発電のみでなく、風力、小水力などを用いた充電ステーションを複数設置し、それをネットワーク化することにより、コミュニティーの中でエネルギーを効率よく用いて農業を行う「スマートアグリネットワーク」の構築に向けて実証実験を行っていく予定という。