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 富士通研究所は、暗号化した文字列から、任意の文字の検索を可能にする秘匿検索技術を開発した。1万6000文字の文字列からの秘匿検索を、約1秒で完了できるとする。従来は、暗号化前に検索する文字を登録しておく必要があったり、検索に時間がかかったりするといった課題があった。

 今回開発した技術は、暗号化したまま演算できる「準同型暗号」技術を応用したものである。富士通研究所は2013年8月に、生体認証時の照合計算やウイルス感染者の集計計算などへ、準同型暗号を応用した例を発表している(Tech-On!関連記事)。今回は、この技術を拡張して、文字列全体の中から任意の文字の検索を可能にした。

 具体的には、検索対象のデータのビット列を昇順に並べ替え、多項式に変換して暗号化する。検索データは降順に並び替えて、同じく多項式に変換して暗号化する。両者を乗算して得られる多項式の係数部分に、一致する文字列がどこにあるかを示す情報が現れる。検索結果も暗号化されており、秘密鍵を持つ検索者しか検索結果を知ることができない。

 富士通研究所は、医療機関におけるDNAの塩基配列の検索や、教育機関での成績の分析など、プライバシーの確保が必要になる分野に向けて2015年の実用化を目指している。今回の技術の詳細は、2014年1月21~24日に開催される「2014年 暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2014)」で発表予定である。