自然エネルギー市民ファンドとおひさまエネルギーファンド、両ファンドを支援する認定NPO法人環境エネルギー政策研究所が共同記者会見を開いた(出所:日経BP)
自然エネルギー市民ファンドとおひさまエネルギーファンド、両ファンドを支援する認定NPO法人環境エネルギー政策研究所が共同記者会見を開いた(出所:日経BP)
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 地域住民から出資を募って再生可能エネルギー発電設備を建設する自然エネルギー市民ファンド(JGF:東京都中野区)とおひさまエネルギーファンド(おひさまファンド:長野県飯田市)が10月17日都内で共同記者会見を開き、新たに5地域で1MW前後の太陽光や風力発電設備を建設し、“ご当地エネルギー市民ファンド”を商品化し、出資者を募集すると発表した。これまで「おひさまファンド」の発電設備は、幼稚園など建物の上に太陽光パネルを設置するなど、小規模なものが多く、2004年に立ち上げてから長野県内253カ所で合計1.6MWの太陽光発電システムを建設してきた。
 
 新たな5つのファンドでは、固定価格買取制度(FIT)の施行を機に、地元金融機関からのプロジェクトファイナンスも活用し、当初から1MWを超える規模の発電所建設を目指している。北海道では2MW、福島では1~1.5MW、神奈川県の小田原では約1MW、長野では1.5~2MW、山口では0.8MW以上を計画している。北海道は風力発電設備(2MW機を2基)だが、そのほかの4地域はメガソーラーを設置する。長野の事業がおひさまファンド、それ以外の4地域がJGFによるファンドになる。

 JGFとおひさまファンドは、投資総額の30~40%をファンドによる市民出資でまかない、残りの60~70%は地元金融機関によるプロジェクトファイナンス方式の借入金を充てる方針だ。すでに長野では飯田信用金庫、小田原ではさがみ信用金庫が融資を決めている。会見に参加した千葉商科大学の伊藤宏一・会計ファイナンス研究科教授は、「デンマークでは再生可能エネルギー設備の90%、ドイツでは50%が地元住民の所有になっている。日本は、域外企業による“植民地型”が中心だが、今後、こうした市民出資型が増えるだろう」との見方を示した。