写真1●東芝 執行役常務の横田岳志氏(撮影:日経BP)
写真1●東芝 執行役常務の横田岳志氏(撮影:日経BP)
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写真2●シンプルな架台でコストと設置の工程を短縮(撮影:日経BP)
写真2●シンプルな架台でコストと設置の工程を短縮(撮影:日経BP)
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写真3●複雑な形状の土地に配置(撮影:日経BP)
写真3●複雑な形状の土地に配置(撮影:日経BP)
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 ソフトバンクグループで再生可能エネルギー事業などを行うSBエナジーと三井物産が10月7日に起工した、最大出力約111MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク」(北海道勇払郡安平町遠浅)。今回のメガソーラーのEPC(設計・調達・建設)サービスを担う東芝 執行役常務の横田岳志氏(写真1)に、設備の概要などについて聞いた。

 太陽光パネルは東芝製、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用し、架台は東芝プラントシステムが担当する。単結晶シリコン型の最大出力250Wの太陽電池が44万4024枚設置される。その年間予想発電量は、一般家庭約3万世帯分の年間電力消費量に相当する約1億801万4000kWhを見込む。

 北海道というと太陽光発電に向いていないというイメージがあるが、横田氏によると、今回のメガソーラーの建設地は、日射量、気温のいずれも、太陽光発電に理想的な場所という。結晶シリコン系の太陽光パネルは、温度が上がると発電量が下がるため、気温が高すぎないという気候がプラスになる。

 今回のメガソーラーの建設では、特に、工期の短縮と設置コストの削減、積雪による発電への影響の低減にポイントがある。いずれも架台の工夫によるところが大きい。

 まず、工期を短縮できるように、架台の脚部を地盤に埋め込み、この脚部の周りだけコンクリートで埋める工法を採用する(写真2)。この架台は、めっきした鋼板で作られたV字状の構造と、棒状の脚部のみのシンプルな構造である。横田氏によると、この工法によって、従来の基礎を築いて架台を設置する工法に比べて、工期が約1/2に短縮できるとする。

 次に、冬の積雪時に、雪に覆われて発電量を低減させないように、架台や太陽光パネルに工夫を施した。架台では、太陽光パネルの一番低い部分が地上90cmとなる設計とした。今回のメガソーラーが建設される北海道勇払郡安平町の積雪量は約70cmのため、積雪時にも雪に覆われる可能性が少なくなる。

 太陽光パネルでは、パネルの表面側に突起などの凹凸がなく、太陽光パネルの上に雪が積もりづらい設計のパネルを採用した。電極の位置の工夫などによって実現したものという。太陽光パネルの設置の角度は30度である。

 この他、太陽光パネルやPCSの配置も工夫した。碁盤状に規則的に太陽光パネルを配置できる場合には、PCSを配置する位置も一定の間隔に決めやすくなるが、今回は土地の形状が複雑なためである(写真3)。「複雑な形状の土地の中に、できるだけ多くのパネルを置き、かつ、最大の発電量を得るためには、特にPCSの配置や使い方が重要になる」(東芝の横田氏)からである。