シャープは公募増資と第三者割当増資により、最大約1700億円を調達する(発表資料1:PDF)。2013年9月18日の取締役会で、新株式発行とオーバーアロットメントによる株式の売り出し、およびマキタ、LIXIL、デンソーに対する第三者割当による新株式発行について決議した。

マキタ100億、LIXILは50億、デンソー25億

 電動工具メーカーのマキタとシャープは、これまでも製品のOEM供給で取引関係にあったが、資本提携契約を結び、既発表(5月の発表資料)の業務提携を推進していく(発表資料2:PDF)。シャープが持つセンサなどのエレクトロニクス技術を生かしたマキタの製品の開発や、両社の販売およびアフターサービス網・調達網などの相互利用を進める。マキタはシャープに約100億円を出資する。払込期日は10月22日、23日、14日のいずれか。

 LIXILとシャープは、住設関連事業の強化を目的に資本・業務提携する(発表資料3:PDF)。両社は、シャープの家電技術とLIXILの建材技術を融合させた製品など、住宅建設やリフォームで生じる新しいニーズに対応した製品・ソリューションの共同企画・開発を行う。LIXILからシャープが受け入れる資本は約50億円。払込期日は10月22日、23日、14日のいずれかを予定している。

 シャープとデンソーは車載機器関連分野で協業する(発表資料4:PDF)。この協業を円滑に進めるため、シャープがデンソーから約25億円の資本を受け入れる。協業テーマは、主として車の乗員と車室内の快適性の創造や、家や家電との協調など。両社は協業を推進するための専任組織を新設するとともに、両社責任者を構成メンバーとする協議体を設置し、両社の技術上・営業上の情報・知見などの相互提供、人材交流、施設・設備などの共同利用などにより、協業の実効性を高めるとしている。

中小型液晶に500億円

 公募による新株式発行では、普通株式4億800万株を発行し、国内と海外同時に募集する。発行価格等決定日は2013年10月7日、8日、9日のいずれか。発行価格等決定日の翌営業日から2営業日後までを申込期間とし、払込期日は10月15日、16日、17日のいずれかとする。

 この新株式発行などによる手取概算額は合計で上限が1489億6300万円。2016年3月までに計画する設備投資資金に全額を充当する予定。具体的には、500億円を中小型液晶の高精細化と歩留まり改善などに、247億円を健康環境事業におけるASEAN地域での製造設備の新設や増強などに、130億円を重点5事業領域の開拓に向けた研究開発に、残額をプロダクト・ビジネスとデバイス・ビジネスにおける上記以外の設備投資資金に充てる。重点5事業とは「ヘルスケア・医療」「ロボティクス」「スマートホーム/モビリティ(含車載)/オフィス」「食/水/空気の安心安全」「教育」を指す。

シャープの設備投資計画
2013年9月18日現在(資料:シャープ)
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中間決算を上方修正

 なお、シャープは増資発表と同時に、2013年度中間期(4月~9月)の業績予想の上方修正を発表した(発表資料5:PDF)。売上高は前回予想に400億円上乗せして前年同期比18.6%増の1兆3100億円とした。営業利益は前回予想の2倍となる300億円に引き上げた。前年同期は1688億円の赤字だったため、約2000億円の改善となる。

 携帯電話機の販売は期初想定を下回る見込みだが、スマートフォンやタブレット端末向けカメラ・モジュールを中心とした電子デバイスが堅調に推移したという。また、太陽電池やテレビ用大型液晶パネルも期初想定を上回る見通し。