「2013中国OLED産業発展フォーラム」が8月16日に中国内モンゴル自治区のオルドス市で開催された。セミナーの後には、中国BOE Technology Group社(京東方科技集団)のオルドス工場の見学会も開かれ、立ち上げ中のクリーンルーム内部の様子が公開された。本イベントの主催は、SEMI Chinaと中国光学光電子行業協会 液晶分会(CODE)である。

 セミナーでは、急速に立ち上がりつつある中国の有機EL(OLED)ディスプレイ産業の状況と、その背景となる中国の政策やパネル・メーカー各社の動向が紹介され、サプライ・チェーン確立に関しての意見交換が行われた。議論を聞いていた筆者は率直に、「日本のFPD産業が予想以上に空洞化してしまっている」という感想を持った。早急な有機ELパネルの量産を目指す中国各社の視界には、目標とする韓国パネル・メーカーしか映っていない。装置や材料ですら「韓国製品をいかにして取り込んでいくか」という議論が中心だった。

2014年には、7ラインが量産投入を計画

 フォーラムでは、CODE 産業研究部主任の胡春明氏が中国有機ELディスプレイ産業の発展状況を報告した。それによると、現在、中国大陸で有機ELパネル生産ラインの投資計画は7本ある。そのうち、第4.5世代ラインが4本、第5.5世代ラインが3本である。これらの総投資額は85億米ドルに達する。

 具体的には、BOE社がオルドスの製造会社(Ordos BOE Yuansheng Optoelectronics社)に220億人民元を投資し、生産能力5万4000シート/月(基板換算)の第5.5世代ラインを立ち上げ中である。同社は2014年第1四半期には低温多結晶Si(LTPS)技術を用いたパネルを製品化し、第2四半期以降にアクティブ・マトリクス駆動の有機ELディスプレイの生産を開始する予定である。

 他の第5.5世代ラインとしては、中国Tianma Micro-electronics社(天馬微電子)がアモイ市の厦門天馬微電子に70億人民元を投資し、2013年中の試作を経て、2014年から生産能力3万シート/月のラインで量産を開始する。また、昆山国顕光電も24億人民元を投資し、生産能力4000シート/月で2014年第4四半期に量産投入する予定である。この昆山国顕には、同じ昆山市で有機ELパネルの開発をこれまで続けてきた中国Kunshan Visionox Display社(昆山維信諾顕示技術)が技術支援をしている。

 第4.5世代では、河南省信陽市の河南激藍科技が2014年第2四半期に生産能力3万シート/月のラインで、上海和輝光電が2014年第4四半期に1万5000シート/月のラインで、彩虹(佛山)平板顕示が2014年に1万5000シート/月のラインで、中国Shanghai Tianma Micro-electronics社(上海天馬)が2014年に既存ラインを改造したラインで、それぞれ量産を開始するとしている。

 さらに、中国Changhong Electric社(四川長虹)が投資する四川虹視顕示技術や中国TCL社(TCL集団)のTCL工研院も、有機ELパネル生産のための投資を視野に入れながら開発を進めている。また、BOE社の合肥工場や重慶工場、および中国China Star Optoelectronics Technology社(CSOT:華星光電)の第8.5世代ラインでも、液晶パネルの生産と並行して有機ELパネルを生産する計画も進んでいる。