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「水晶デバイスは半導体で強くなる」、エプソンが“脱スマホ依存”に向けた新戦略

大下 淳一=日経BP半導体リサーチ
2013/08/22 06:00
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水晶デバイス事業戦略を説明する北村氏
水晶デバイス事業戦略を説明する北村氏
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注力領域を拡大
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エプソンの強み
エプソンの強み
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半導体を組み合わせて付加価値を高める
半導体を組み合わせて付加価値を高める
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多出力SAWを実現
多出力SAWを実現
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 セイコーエプソンは2013年8月20日、東京都内で水晶デバイス事業の戦略説明会を開催した。登壇した同社 業務執行役員 マイクロデバイス事業部長の北村政幸氏が打ち出したのは、基地局やネットワーク機器、自動車、産業・医療といった、これまで同社が十分に開拓できていなかった領域に注力するという方針。その上でカギを握るのは、内製の半導体技術だという。水晶デバイスに自社製半導体を組み合わせ、高性能化や周辺機能の取り込みといった付加価値向上を狙う。

 セイコーエプソンは、スマートフォンやデジタル・カメラ、パソコンといった民生機器向けの水晶デバイスでは、30%弱の世界トップ・シェアを誇る。対して「これまで十分に入りきれていなかった」(北村氏)という基地局やネットワーク機器、自動車など非民生分野のシェアは10%未満にとどまる。

 同社が今後、非民生分野に注力するのは売り上げ拡大の余地が大きいことに加えて、民生分野に比べて安定した利益を見込んでいるためだ。民生分野での稼ぎ頭となるはずのスマートフォンでは「セット・メーカーからのコスト要求が非常に厳しいことに加え、(チップ・セットに機能が取り込まれることで)端末1台当たりの水晶振動子の搭載個数は減少している」(北村氏)。スマホの世界出荷台数は爆発的に伸びているものの、スマホ向け水晶デバイスの売上高の成長率は年率数%にとどまる見通しで、採算性も従来に比べて悪化しているもようだ。

 こうした状況を受けて、今後はコスト以外の付加価値が認められやすい非民生分野への注力度を高める。モバイル・トラフィックの増大に伴って高精度発振器の需要が拡大しているという基地局・ネットワーク機器向けを強化するほか、自動車分野では従来から注力してきたインフォマティクス(情報系)に加えて、今後は安全機能分野への進出を図る。FA機器やスマートグリッド、セキュリティ、健康・医療といった産業・医療分野は新規参入となるが、「ネットワーク機器や自動車向け製品を若干カスタマイズすることで対応できる」(北村氏)としている。

 これらの取り組みを通じて、2012年度に35%にとどまった非民生分野向け売り上げ比率を、2015年度には50%まで高める計画である。ただし民生分野でも「業界首位の座を一層強固にする」(北村氏)とし、手を緩めるつもりはないことを強調した。

 非民生分野を開拓するうえでは、「QMEMS」と呼ぶリソグラフィ加工ベースの小型かつ高精度の水晶デバイス技術に加えて、半導体技術を新たな差異化要素にする。具体的には、アナログ回路や高周波回路、PLL回路、論理回路などを水晶デバイスと組み合わせ、(1)低位相雑音で高周波、高安定な発振器、(2)顧客の機器に合わせたデジタル出力製品、(3)顧客の要求を採り入れた高機能製品、などを市場投入していく。例えば、基地局やネットワーク機器向けでは、従来は機器メーカーが外付け部品で実装していたクロック分配や周波数変換、雑音クリーニングなどの機能を、半導体回路として水晶デバイスと同一パッケージに取り込んでいく考えだ。

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