決算を発表する鶴丸氏(左)。右は会長兼CEOの作田久男氏。
決算を発表する鶴丸氏(左)。右は会長兼CEOの作田久男氏。
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前工程拠点の生産構造改革
前工程拠点の生産構造改革
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後工程拠点の生産構造改革
後工程拠点の生産構造改革
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 ルネサス エレクトロニクスは2013年8月2日、同年度第1四半期(4~6月期)の決算発表に併せて、新たな生産構造改革を発表した(決算概要)。前工程拠点(8月2日時点で9拠点14ライン)では、民生機器向けSoCの主力拠点である鶴岡工場(山形県)を今後2~3年以内に閉鎖するのをはじめ、4拠点計6ラインを閉鎖する。後工程拠点(同5拠点)では、2拠点を閉鎖する。

 同社は2012年7月3日に、国内生産拠点の大掛かりな再編計画を発表済みである(関連記事)。今回は、その際に売却や閉鎖、一部ラインの閉鎖および生産能力の縮小を想定していた製造拠点について、閉鎖を決めたラインを発表した。

 前工程拠点については、(1)鶴岡工場の300mmラインと125mmラインを2~3年以内に、(2)甲府工場(山梨県)の200mmラインと150mmラインを1~2年以内に、(3)滋賀工場(滋賀県)の200mmラインを2~3年以内に、(4)高崎工場(群馬県)の125mmラインを1年以内に、それぞれ閉鎖する。また、2012年7月3日時点で売却や閉鎖を検討すると発表していた山口工場(150mmライン、山口県)については、生産能力を縮小して運営するものの、売却も継続して検討するとした。

 生産の縮小や閉鎖を行わない、ルネサスの主力前工程拠点と位置付けるのは、那珂工場(200mmラインおよび300mmライン、茨城県)、川尻工場(200mmライン、熊本県)、西条工場(200mmライン、愛媛県)の3拠点となる。

 後工程拠点については、(1)柳井工場(山口県)を2年以内に、(2)山口工場(山口県)を1年以内に、それぞれ閉鎖する。また、熊本(錦)工場(熊本県)については、2年以内の売却または閉鎖を検討する。これらの結果、ルネサスの主力後工程拠点として生産を継続するのは、米沢工場(山形県)と大分工場(大分県)の2拠点となる。

 2日の決算説明会に登壇した鶴丸哲哉氏(ルネサス エレクトロニクス 代表取締役社長兼COO)は今回の決定について、「事業の将来性を考えて生産構造を見直した結果だ。鶴岡工場については、他社への譲渡を目指して交渉してきたが、非常に厳しいと判断した」と説明した。閉鎖するラインの生産品目については、同社の別拠点やファウンドリーにプロセスを移管するか、または生産を終了する。いずれを選ぶかは「今後、顧客と相談しながら決める」(同氏)とした。

 今後閉鎖または売却を予定している生産拠点の従業員数は、合計で2700人程度にのぼるという。今回発表した生産構造改革に伴う人員削減に関しては、「今後、労使交渉の中で協議していく」(鶴丸氏)とするにとどめた。ルネサスは2013年9月末に早期退職優遇制度による3千数百人規模の人員削減を予定しているが、これは「管理職(の人員)を最適化するためのもの」(同氏)。このため、今回の生産構造改革に伴う人員削減と多くは重ならないとみられる。

 2日にルネサスが発表した第1四半期決算は、売上高が前年同期比6.7%増の1991億円、営業損益が同274億円改善して98億円の黒字となった。営業黒字は2012年度第4四半期に続いて2四半期連続。純損益は前年同期比で168億円改善したものの、40億円の赤字だった。