決算を発表する加藤氏
決算を発表する加藤氏
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 ソニーは2013年8月1日、同年度第1四半期(2013年4~6月期)の連結決算を発表した(決算資料のページ)。売上高は前年同期比13%増の1兆7127億円、営業利益は同301億円増加して364億円となった。スマートフォン事業や金融事業が好調だったことに加え、円安の恩恵を受けて前年同期比で大幅な増収増益となった。テレビ事業も12四半期ぶりに黒字化し、エレクトロニクス5部門合計の営業損益は前年同期の131億円の赤字から134億円の黒字に転換した。純損益も前年同期比で281億円改善し、35億円の黒字となった。

 1日の決算説明会に登壇した同社 代表執行役 EVP CFOの加藤優氏は、「想定を上回る結果だった」と第1四半期決算を振り返った。同社は「エレクトロニクスの(通期)黒字化を最大の経営課題に掲げており、先々を占う意味で大変重要な四半期になった」(同氏)とした。

 対前年同期比の収益改善幅が最も大きかったのは、スマートフォンやパソコンを主力とするモバイル・プロダクツ&コミュニケーション分野である。営業損益は前年同期の281億円の赤字から340億円改善して59億円の黒字となった。「Xperia A」などの新製品が好調だったスマートフォンの販売台数が、前年比で大幅に伸びた。一方、パソコンは不振だ。通期での販売台数計画を、2013年5月時点の見通しから130万台下方修正して620万台とした。パソコンは米ドル建ての部材が多いことから、収支面でも円安が逆風になっているという。

 液晶テレビを主力とするホームエンタテインメント&サウンド分野は、営業損益が前年同期の100億円の赤字から、34億円の黒字に転換した。このうち、液晶テレビ事業の営業損益は、前年同期の66億円の赤字から118億円改善し、52億円の黒字となった。販売台数は前年同期比で大幅に減少したものの、高付加価値品へのシフトや固定費削減などの施策が効果を挙げた。ただし、液晶テレビの通期での販売台数計画については、2013年5月時点の見通しを100万台下方修正して1500万台とした。

 エレクトロニクス5部門の中では、ゲーム分野の不振が際立つ。前年同期に35億円だった営業赤字が148億円まで拡大した。「PSP」や「PS3」などの販売台数が減少したことに加え、2013年末に市場投入する「PS4」の開発コストがかさんだという。

 全部門のうち、最も大きな利益を叩き出したのは金融部門である。営業利益は460億円と、前年同期比で184億円増加した。

 ソニーは、2013年度通期の業績予想のうち、売上高を4000億円上方修正して7兆9000億円とした。営業利益は2300億円、純損益は500億円という予想をそれぞれ据え置いた。第1四半期の業績は予想を上回ったものの、「中国や中南米の景気、新興国の為替などの不透明要因があるため」(加藤氏)という。

■変更履歴
記事初出時、パソコンの所属分野をホームエンタテインメント&サウンド分野としていましたが、正しくはモバイル・プロダクツ&コミュニケーション分野です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2013/08/02 10:45]