記者会見の様子。左から順に、Mark Durcan氏、Micron社PresidentのMark Adams氏、坂本幸雄氏、弁護士でエルピーダ管財人の小林信明氏、木下嘉隆氏。
記者会見の様子。左から順に、Mark Durcan氏、Micron社PresidentのMark Adams氏、坂本幸雄氏、弁護士でエルピーダ管財人の小林信明氏、木下嘉隆氏。
[画像のクリックで拡大表示]
登壇したMark Durcan氏
登壇したMark Durcan氏
[画像のクリックで拡大表示]
Micron社とエルピーダ・グループの事業規模
Micron社とエルピーダ・グループの事業規模
[画像のクリックで拡大表示]
互いの強みを生かす
互いの強みを生かす
[画像のクリックで拡大表示]
生産規模でメモリ業界2位に
生産規模でメモリ業界2位に
[画像のクリックで拡大表示]
売り上げ規模も業界2位に
売り上げ規模も業界2位に
[画像のクリックで拡大表示]
坂本氏のプレゼンテーション資料
坂本氏のプレゼンテーション資料
[画像のクリックで拡大表示]

 米Micron Technology社とエルピーダメモリは2013年7月31日、Micron社によるエルピーダの全株式の取得が完了したと発表した(Micron社の英文リリース)。2012年7月2日に両社が合意したスポンサー契約に基づくものである。買収に伴う出資額は600億円で、エルピーダの更生計画に基づく第1回の弁済に充てられる。エルピーダは同日付で、管財人兼代表取締役社長CEOの坂本幸雄氏が退任し、木下嘉隆氏が管財人兼代表取締役社長に就任する人事を発表した。Micron社とエルピーダは同日、東京都内で合同記者会見を開催し、Micron社CEOのMark Durcan氏の他、坂本氏や木下氏などが登壇した。

 登壇したDurcan氏は「我々とエルピーダの統合のシナジーは大きい。両社が一つになることで、製品のポートフォリオや技術、生産規模などの点で韓国Samsung Electronics社に対抗できる唯一のメモリ企業になる」と語った。同氏によれば、買収後もエルピーダの広島工場(前工程)や秋田工場(後工程)の操業や位置付け、従業員の雇用を大きく変える予定はないという。例えば、広島工場は今後も先端DRAMの主要拠点でありつづけるとした。ただし、エルピーダ製品のブランドは近い時期にMicron社のブランドに統一するとともに、エルピーダの法人名は「マイクロン メモリー ジャパン(Micron Memory Japan)」に変更する予定という。

 Micron社はエルピーダ買収完了に伴う取引として、同日付で台湾Powerchip Technology社が保有する台湾Rexchip Electronics社の株式(24%)を取得した。エルピーダが保有するRexchip社の株式(65%)と合わせると、Micron社はRexchip社の株式の89%を保有することとなり、Rexchip社の生産量の全量をコントロールする。Rexchip社では今後、モバイルDRAMを含む「あらゆる種類のDRAMを生産する」(Durcan氏)計画である。エルピーダとRexchip社の工場を合計した生産能力は18万5000枚/月(300mmウエハー換算)を超え、Micron社の全生産能力を約45%増強することになるという。

 Durcan氏に続いて登壇した坂本氏は冒頭、2012年2月に会社更生法の適用申請に至ったことに触れ、「債権者や従業員に改めて申し訳ないと思っている」とした上で、更生法適用後の1年半に注力してきた事柄について説明した。雇用の維持やオペレーションの健全化、顧客との取引関係の維持に加え、財務体質の改善や広島工場のコスト低減、世界の主要なモバイル端末メーカーとの取引関係の確立などに努めたとする。この結果、例えば広島工場の製造コストはRexchip社をしのぐ水準にまで下がったという。坂本氏はこの1年半を振り返って、「優秀な人材が会社に踏みとどまり、必死に努力してくれた。これによって、我々はようやくMicron社と“結婚”できる会社になれた」と話した。