決算説明したルネサス エレクトロニクス 代表取締役社長の鶴丸哲哉氏
決算説明したルネサス エレクトロニクス 代表取締役社長の鶴丸哲哉氏
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四半期ベースで2年ぶりの営業黒字に
四半期ベースで2年ぶりの営業黒字に
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半導体売上高の事業別状況
半導体売上高の事業別状況
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生産構造改革の進捗
生産構造改革の進捗
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 ルネサス エレクトロニクスは2013年5月9日、2012年度(2012年4月~2013年3月)の連結決算を発表した(リリース決算説明会の資料)。

 2012年度の売上高は、世界的な市況の停滞などにより、対前年度比11%減の7858億円、半導体売上高は同7.8%減の7247億円と減収になった。営業損益は232億円の赤字だが、研究開発費の効率化や販売費、一般管理費の削減によって対前年度比では335億円改善している。純損益は、1339億円の特別損失を計上したことから、対前年度比1050億円悪化の1676億円の赤字となった。特別損失の内訳は、国内の早期退職優遇制度の実施費用が約840億円、事業・生産構造改革の実施費用が約360億円、その他が約140億円となっている。

 2012年度第4四半期は、固定の削減などによって営業損益が対前期比159億円改善して80億円の黒字と、「2年ぶりに四半期ベースで黒字転換を果たした」(ルネサス エレクトロニクス 代表取締役社長の鶴丸哲哉氏)。下期累計でも1億円の営業黒字を達成している。

 2012年度の半導体売上高のうち、事業別の状況は以下の通りである。まず、マイコンに関しては汎用マイコンが世界的な市況悪化の影響によって、産業機器やパソコン周辺機器、民生機器を中心に減収となり、売上高は対前年度比15%減となった。一方、自動車向けマイコンは、2012年度下期にかけて国内におけるエコカー補助金の終了、中国向け自動車の生産減による影響を受けたものの、ほぼ前年度並みの売上高を確保した。

 アナログ&パワー半導体に関しては、自動車向けパワー・デバイスとアナログICが堅調だったものの、産業機器や民生機器を中心としたその他用途向けが大幅な減収となり、対前年度比で減収となった。一方、表示ドライバICは、撤退を決めた大型パネル向け事業が大幅な減収となったものの、中小型パネル向けが牽引し、対前年度比で約20%の増収となった。

 SoCについては、モバイル/ネットワーク機器などの通信向けは、従来型携帯電話機における落ち込みが大きく、パソコン周辺機器は市況悪化に加え、一部事業の縮小を進めた結果、ともに対前年度比で40%以上の減収となった。一方、自動車向けは堅調で約5%の増収である。民生機器向けではホーム・マルチメディア事業の縮小による影響があったものの、アミューズメント向けの大型案件が牽引し、対前年度比で約20%の増収となった。

 なお、2013年度の業績見通しについては、発表を見送った。ルネサスは2013年2月22日開催の臨時株主総会において承認された第三者割当増資による産業革新機構、および事業会社8社からの出資を控えており、中期展望を含む業績予想を策定中であるため、「現時点においては2013年度の連結業績予想を開示できない」(鶴丸氏)とする。出資が完了した後、業績予想の開示が可能となった時点で、適時に開示するという。

外部ファブとの連携を強化