米Spansion社は2013年5月1日、同社が富士通セミコンダクター・グループのマイコンおよびアナログ半導体の設計・開発事業を買収することについて、その狙いなどを説明した。製品ポートフォリオの拡充による売上高の拡大に加え、優れた技術者を獲得することによって研究開発能力を高め、「フラッシュ・メモリ、マイコン、アナログ/ミックスト・シグナル回路を1チップに統合した組み込み向けSoCの開発を加速する」(同社Chief Executive OfficerのJohn H. Kispert氏)という。
今回の買収は、Spansion社のファブライト戦略とも合致するという。富士通セミコンダクター・グループの会津若松工場がSpansion社の製品を製造するファウンドリーとして機能するからだ。両社は複数年に渡るファウンドリー契約を締結しており、これによってSpansion社は設備投資を最小限に抑えながら、製品の安定供給が可能になる。なお、富士通セミコンダクター・グループは日本におけるSpansion社製フラッシュ・メモリの販売代理店だったが、今回の合意によってフラッシュ・メモリだけではなく、マイコンやアナログ半導体の国内向け販売も手がける。
研究開発能力を強化
Spansion社は、富士通セミコンダクター・グループのマイコンおよびアナログ半導体の設計・開発事業を約1億7500万米ドル(約6500万米ドルの棚卸資産を含む)で買収する最終契約を締結した(関連記事1、関連記事2)。この買収によってSpansion社は、「売上高を4億5000万~5億5000万米ドル上積みできる」(Kispert氏)という。2014年には利益を4000万~6000万米ドル改善できる見込みである。
今回の買収では、富士通セミコンダクター・グループから約900人のエンジニアを含む1100人以上の従業員がSpansion社に移る。また、1200以上の特許と5000種類以上の製品をSpansion社が獲得する。こうした優れた人材や特許の獲得によって「Spansion社の研究開発能力を大幅に向上できる」(同氏)とする。なお、Spansion社はソフトウエア技術者の増強にも力を入れており、今回の買収によってSpansion社におけるソフトウエア技術者の数は従来の250人から500人に倍増する見込みである。