放送業界が見初めた価格と画質と利便性

4K動画を撮影できる新機種「HERO3」

 「おもちゃのように小さいが故に画質が低い」という指摘もGoProには当てはまらない。放送業界がGoProを本格的に採用していることが、それを裏付けている。日本でも、バンジージャンプや絶叫マシンに挑戦するシーン、登山などの探検もののシーンでヘルメットに取り付けたGoProをテレビで見ない日はない。これが言い過ぎではないほど、番組制作の現場に浸透している。

 最新機種の「HERO3」では、15フレーム/秒とフレーム速度は低いものの、4K×2K(3840×2160画素)の動画を撮影できる機能を加えた。2012年10月の発売以降、在庫薄の状況が続くほどに売れているという。「すべてのユーザーが4K動画を撮影するわけではない。ただ、プロのユーザーを中心に撮影したい人もいる。そのために機能を用意していくことが大切だ」(Shaikh氏)。

 Foxconnが投資したことからも分かるように、GoProはFoxconnが生産している。ただ、ハードウエアやソフトウエアの設計は、丸投げではない。すべてWoodman Labs社の社内でまかなっている。4年前に7人だった社員は1年前に150人に増え、現在はさらに2倍以上に増えて350人規模になった。

Ambarella社 VP of Marketing and Business DevelopmentのChris Day氏

 CMOS画像センサや画像処理LSIは、もちろん外部メーカーのものを採用している。HERO3に搭載されているCMOSセンサは、ソニーの裏面照射型「IMT117CQT」。画像処理LSIは、米Ambarella社製の「A7」である。Ambarella社でマーケティング関連を統括するVPのChris Day氏は、「GoProは他のメーカーと目的意識が違う。画質にはものすごくこだわる」と証言する。

 「放送局などのプロに使ってもらうことは、我々の夢だった。だから、とても興奮している。製品を低価格にできたことが大きかった」(GoProのShaikh氏)。同じ用途に使ってきた従来の業務用小型カメラの価格は数千米ドル。それに比べると価格が1/10ほどの格安カメラで、放送に十分な映像を撮影できる。これが採用拡大の理由だ。(関連記事「格安HD映像機器が、新しい“放送”のカタチを切り開く」、『日経エレクトロニクス Digital』有料会員限定)

 今や、GoProの新製品に歩調を合わせて画像処理LSIを進化させているAmbarella社のDay氏は、次のように指摘する。