日立金属と日立電線は2012年11月13日、2013年4月1日付けで合併をめざすことで、基本合意したと発表した。日立金属が日立電線を吸収する形で合併する。エレクトロニクスや自動車、産業インフラなどの各分野で両社の相乗効果のある製品提供や、生産・販売・営業拠点を効率的に運用することで、持続的に発展することが狙いという。

 今回の提携に至った背景を、日立電線の執行役社長の高橋秀明氏は「日本市場では持続的な成長が見込めないため」と説明した。同社は電力用、産業用、情報通信用などの電線を主力事業とするが、いずれも「国内市場が縮小している」(同)。持続的な成長のためにはグローバル化が必須となるため、「その方向が一致していた日立金属と合併することにした」という。両社の国内リソースを効率的に活用し、余剰分を海外の活動に向ける。

 両社の製品を合わせることで、顧客に対して関連商品を一体で販売したり、付加価値を付けた製品を提供できたりする可能性があるという。例えば、自動車向けでは日立金属が得意とする自動車向けスイッチと、日立電線が得意とする自動車の電装品の組み合わせ、医療向けでは日立金属のCTスキャン向けの磁性体などの素材と、日立電線のケーブルの組み合わせなどが考えられる。

 なお、今後の売上目標や国内拠点の統廃合などについては「これから棚卸しを行い、判断していく」(日立金属 執行役社長 藤井博行氏)とし、明確な数字や規模は示さなかった。