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 筑波大学発ベンチャーのつくばウエルネスリサーチ(本社茨城県つくば市、以下TWR)は、国内初の「自治体供用型健康クラウド」の構築を行うと発表した。自治体で管理する国民健康保険データや地域住民の健康関連データを分析・評価して、自治体が住民の健康状態を詳細に把握すると同時に、住民向け健康施策を企画・実施・評価するために必要な情報を提供する。TWRは、将来健康度合いを示す新たな総合評価指標の確立を目指す。

 同システムは、国民健康保険および全国健康保険協会が管理する地域住民の医療レセプトデータや健診データ、介護保健データ(介護給付情報)、地区ごとのライフスタイルや住居近隣環境などの情報を統合し、個人情報を匿名化した後にデータの抽出・分析を行う。地域住民の健康状態の詳細な把握・分析と、健康に影響する広範な因子(住民のライフスタイル・ヘルスリテラシー、地域のソーシャルキャピタルなど)を明らかにし、自治体が住民向けに実施する健康施策の評価と、施策効果のシミュレーションを可能にする。

 従来の国民健康保険データだけでは、各自治体内の約3割の人口しかカバーしていない。しかし同統合データシステムにより、これが約6割まで拡大する。また、複数の自治体のデータを共有することで、各自治体の比較も可能になる。

 同プロジェクトは、2011年12月に内閣府より指定された「健幸長寿社会を創造するスマートウエルネスシティ総合特区」における取り組みの一貫。総務省の「自治体共用型健康クラウド整備の実証実験に関する請負」に係る事業として実施される(予算規模4億円)。今年度中にシステムを構築し、「健幸長寿社会を創造するスマートウエルネスシティ総合特区」に認定された7市(新潟県見附市・新潟市・三条市、福島県伊達市、岐阜市、大阪府高石市、兵庫県豊岡市)を対象に、実証実験を開始し有用性について検証する予定だ。