図1◎クルマの陰から飛び出す歩行者を避ける
図1◎クルマの陰から飛び出す歩行者を避ける
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図2◎前方の停止車両を避ける
図2◎前方の停止車両を避ける
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図3◎緑色の部分が車両が進行可能なエリア
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図4◎クルマの4隅の黒い部分にレーザレーダを設置
図4◎クルマの4隅の黒い部分にレーザレーダを設置
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図5◎9個のセンサを搭載
図5◎9個のセンサを搭載
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 日産自動車は2012年10月17日、複数のセンサによって車両周囲の障害物を検知し、歩行者が飛び出してきたときなどに自動操舵によって衝突を避ける機能を開発した発表した。同社が実施した先進技術説明会でデモンストレーションを公開した。

 衝突を避ける機能は自動ブレーキによって停止するものが一般的。しかし、車速が高くてブレーキが間に合わない場合、周囲に避けられるスペースがあれば、ステアリングを切って衝突を回避することができる。

 今回、開発した機能では二つのデモンストレーションを実施した。一つは、クルマの陰から歩行者が飛び出した場合、もう一つは前方に車両が停止していてブレーキでは間に合わない場合。いずれも自動操舵によって障害物を避け、再び自動でステアリングを切り返して直進状態に戻った。

 車両の進路を変えて衝突を避けるには複数のセンサで空きスペースを認識する。後側方から車両が接近している場合、急にステアリングを切るとぶつかってしまう。このため、ステアリングを切って進路を変えてもぶつからない領域を検知しておく必要がある。そこで、車両には九つのセンサを設置した。

 内訳は前方監視用の77GHzレーダ1個、後側方監視用の24GHzレーダ2個、前方監視用のカメラ1個、前方監視用のレーザレーダ1個、車両の4隅に設置したレーザレーダ4個である。

 車両での制御は以下のようだ。センサが衝突の危険性を察知すると音と表示で運転者に警告する。それでも運転者が回避操作をしないと、自動ブレーキと自動操舵のどちらが有効かをシステムが判断、自動操舵すると決定した場合はステアリング操作できる方向を運転者に知らせ、その後瞬時に操舵する。自動回避できる衝突には、対向車が車線をはみ出して、自車の車線に進入してきた場合も含む。

 開発機能を載せた試作車は、二つのモニターを載せており、片側に緑の色分け表示で進行方向において回避可能なエリアを表示していた。また、もう一方の画面にはレーザレーダで検出した障害物を示していた。なお、障害物として検知できるのは前方が150mまで、後方が70mまでである。試験車両には電気自動車の「リーフ」を用いた。

 今回のシステムは9個のセンサを使うなど、実用化にはやや時間がかかりそうだ。同社は今後、センサとシステムの改良を続けていくとする。