東京医科歯科大学と大日本印刷の関係者
東京医科歯科大学と大日本印刷の関係者
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病的近視は眼球形状が変形していることが分かったと説明
病的近視は眼球形状が変形していることが分かったと説明
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眼球変形部位にコラーゲン合成細胞を転写する治療法を開発していると説明
眼球変形部位にコラーゲン合成細胞を転写する治療法を開発していると説明
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 東京医科歯科大学と大日本印刷は、日本人に多い「病的近視」の原因が眼球の変形や異常にあることを3次元MRI画像解析により解明したと発表した。同時に、印刷技術を用いた組織再生技術の共同研究成果を応用し、眼球の変形を抑制する治療法の開発に着手したことも明らかにした。病的近視は、メガネやコンタクトレンズを装着しても視力が戻らない病態を指す。

 今回の研究成果の意義として、両者は次の2点を挙げる。(1)視覚障害を生じるリスクが高い眼球形状を持つ患者を未然に発見できる可能性があること、(2)病的近視の原因を病変発生前に治療できる可能性があること、である。研究内容については、2012年10月25日に国立京都国際会館で開催される「第66回日本臨床眼科学会」や、同年11月10日に米国シカゴで開催される「米国眼科学会議(AAO2012)」で発表される予定である。

 両者は今回、3次元MRIによる眼球形状診断システムによって、病的近視の原因が、眼球形状の変形による網膜や視神経の機械的障害であることを突き止めたと説明する。さらに、病的近視を引き起こす眼球形状の変形には、幾つかのパターンがあることも発見したという。このため、眼球形状の変形を正確に把握し、早期に是正することによって、病変発生前の治療への応用が期待できるとする。

 そこで、両社の共同研究の成果である印刷技術を応用した再生医療技術を用い、病的近視を治療する方法の開発に着手した。利用する再生医療技術は、光リソグラフィー技術を用いて、ヒトの血液からパターン化された血管を体外で作成し、転写技術を用いて体内に移植するというもの。動物を用いた実験では既に、皮膚や骨、歯周組織の再生において成功を収めていると説明する。こうした研究成果を応用し、病的近視の治療法として、眼球変形部位にコラーゲン合成細胞を転写し、眼球の歪みや変形を抑制する治療法の開発を進めているという。