「特許もデザインも」と主張

 一連の訴訟の起点となった米国での訴訟を例に、両社の争いを詳しく見ていこう。
 Apple社は今回、4種類の知的財産権の侵害を訴えている。具体的には、ユーティリティー特許(日本の特許権に相当。以下、特許)を8件、デザイン特許(日本の意匠権に相当)を7件、トレードマーク(日本の商標権に相当。以下、商標)を8件、そしてiPhoneおよびiPadのトレード・ドレスを挙げ、それらをSamsung社が侵害したと主張している(図2注2)

図2 デザイン特許や商標の侵害も訴えた
Apple社は米国の訴訟において、デザイン特許7件、商標8件、そして「iPhone」および「iPad」のトレード・ドレスの侵害を訴えた。デザイン特許の多くは2007年前後に出願している。商標は2010年4月に出願したものがほとんどだ。図中の画像は公報から抜粋した。
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 デザイン特許については、アイコンをタイル状に並べて表示するメニュー画面に関する3件と、携帯型コンピュータの筐体デザインに関する4件を挙げている。2007~2008年に出願したものが多い。商標については、iPhoneやiPadなどで利用している「電話」「設定」「連絡先」といったアプリケーション・ソフトウエアのアイコン7件と、パソコン用のメディア管理ソフトウエア「iTunes」で利用しているアイコン1件について、Samsung社が酷似したものを利用したと主張している。さらにトレード・ドレスについては、Galaxy SやGalaxy Tabのパッケージ・デザインがApple社のものと似ており、iPhoneやiPadのブランドを毀損していると主張する。


注2)2011年6月に提出した修正版の訴状での主張である。同年4月の訴状に対し、特許を2件取り下げて3件追加し、デザイン特許を1件取り下げて5件追加した。