日立製作所の中村氏
日立製作所の中村氏
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 日立製作所は2012年7月30日、2012年度第1四半期(2012年4~6月)の連結決算を発表した(発表資料)。売上高は前年同期比1%減の2兆1207億円、営業利益は同21%増の635億円の減収増益。純利益は同2.4倍の70億円。「オートモティブシステム」と「電力システム」「建設機械」の3部門が好調に推移した。

 HDD事業や中小型ディスプレイ事業を売却したことが、減収につながった。これらの事業売却を補正した場合の業績は、「売上高が前年同期比で106%、営業利益は同51億円増、純利益は同60億円増だった」(同社 日立製作所 執行役副社長の中村豊明氏)とする。

 セグメント別で増益増益になったのは、オートモティブシステムと電力システム、建設機械の3部門である。オートモティブシステムでは、新興国を中心に世界的な自動車需要の伸張により、売上高は前年同期比23%増の2050億円、営業利益は同64億円増の93億円となった。火力発電システムが好調に推移した電力システムは、売上高が前年同期比15%増の1905億円、営業利益が同57億円増の24億円。建設機械は、売上高が前年同期比15%増の1990億円、営業利益が同30億円増の141億円。中国での需要が減少したものの、その他の新興国や北米での油圧ショベルやアジア・太平洋地域でのマイニング機械の販売が増加した。この他、金融サービスは、売上高が同2%増の946億円、営業利益が同3億円増の72億円となった。

 一方、営業損益が赤字となったのが、「情報・通信システム」と「社会・産業システム」の2部門。情報・通信システムは売上高が前年同期比6%増の3716億円となったものの、「抱えていたプロジェクトの収支が悪化した」(同社の中村氏)ことなどから営業損益は同35億円減となる14億円の赤字となった。社会・産業システムは、売上高が同4%増の2380億円、営業損益は同30億円減で20億円の赤字。製造業向けの産業機器が不調だったとする。

 テレビや白物家電などの「デジタルメディア・民生機器」は、薄型テレビの需要現象や光ディスク関連製品がタイの洪水や価格下落の影響を受け、売上高は前年同期比6%減の2185億円。営業利益は、国内を中心に家庭用エアコンを含めた白物家電の価格下落で減少したものの、薄型テレビ事業の構造改革により1700万円の「黒字を確保した」(同社の中村氏)。なお、テレビ事業単体では、「若干の赤字」(同社)という。

 この他、「電子装置・システム」部門は売上高が年同期並みの2452億円、営業利益が前年同期比23億円増の95億円、「高機能材料」部門は売上高が同1%減の3431億円、営業利益が同6億円増の200億円だった。

■変更履歴
記事掲載当初、「オートモーティブシステム」としていましたが、正しくは「オートモティブシステム」でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。