ウィンド・パワーかみす洋上風力発電所(茨城県神栖市)に設置されている洋上風力発電システム。富士重工と日立が共同開発したもので2010年7月から稼働している(写真:日立製作所)
ウィンド・パワーかみす洋上風力発電所(茨城県神栖市)に設置されている洋上風力発電システム。富士重工と日立が共同開発したもので2010年7月から稼働している(写真:日立製作所)
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 日立製作所は、発電容量5MW級の洋上風力発電システムの開発に着手した(ニュースリリース)。開発するのは、プロペラを風下側につけたダウンウィンド方式のシステム。システム全体を軽量化するなど、新技術を投入していく。2014年度から実証試験を開始し、2015年度の販売開始を目指す。また、今回の開発に加え、日立は低風速域対応の2MWダウンウィンド陸上風力発電システムの開発も推進する。

 ダウンウィンド方式は、丘陵地帯など吹上風が吹く地帯での発電量が多くなることが特徴で、浮体式洋上風力の場合、この特徴が大きく生かされるという。また、着床式洋上風力では、風見鶏効果により風荷重が低減されるため、基礎工事コストが低減できるとする。日立によれば、着床式洋上風力として納入した風力発電システムが、東日本大震災に耐えたという。

 浮体式洋上風力では、環境省で実施している100kWの実証試験を五島列島で開始しているほか、経済産業省が福島県沖での実証試験も計画しており、今後、洋上風力発電システムは、着床式・浮体式ともに市場が伸びることが期待される。日立は、これらの実証試験に参画するとともに、着床式・浮体式両方に適した風力発電システムを開発していく。

 日立は2012年7月に富士重工業から風力発電システム事業を譲り受け(Tech-On!関連記事)、「HWT」(Hitachi Wind Turbine)シリーズとして、日立事業所 埠頭工場(茨城県日立市)で開発・製造を始めた。日立は現在まで、約70基の2MWダウンウィンド風力発電システムを受注してきた。今後、さらに営業活動を強化し、2015年度に風力発電システムで国内市場シェア首位を目指す。