図1 Broadcom社のAli Abaye氏
図1 Broadcom社のAli Abaye氏
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「日本企業の参加をもっと促したい」――。
米Broadcom社 Infrastructure and Networking Group Senior directorで、車載Ethernet製品を手掛けるAli Abaye氏は、第15回組込みシステム開発技術展(ESEC、2012年5月9~11日開催)に出展した理由をこう語る(図1)。Ethernetは車載LAN、中でも制御系や情報系の信号を伝送する用途へ適用に向けて、大手自動車メーカーや部品メーカーなどが強い関心を寄せている。
 
 Broadcom社は、車載Ethernetの仕様策定や普及促進などに向けて、「OPEN(One-Pair Ether-Net) Alliance SIG」が2011年11月に発足させている。 独BMW社や韓国Hyundai Motor 社といった自動車メーカーの他、米Broadcom社や米Freescale Semiconductor 社、米Harman International Industries社、オランダNXP Semiconductors社といった部品メーカーなどが参画している。

日本の部品メーカーが数社参加しているものの、日本の自動車メーカーは2012年5月11日時点でOPEN Alliance SIGに加盟していない。そこで、今回の出展を契機に、日本の自動車メーカーや部品メーカーの参加を促す考えだ。

 OPEN Alliance SIGでは、Broadcom社の「BroadR-Reach」と呼ぶ伝送技術をベースにした車載Ethernetの物理層の仕様を策定している。データリンク層には、Ethernet AVBの採用を検討している。

  BroadR-Reachの特徴は、シールドなしのより対線1本(1ペア)で全二重通信を行い、100Mビット/秒のEthernetを実現できる点である。一般的なEthernetは、100Mビット/秒ではシールド付きのより対線2本(2ペア)用いる。信号線が減る分、軽量化とコスト削減が可能になるとする。

映像伝送をデモ


 会場では、こうしたBroadR-Reachの特徴をアピールするデモを、OPEN Alliance のメンバー企業がそれぞれ行っていた。Broadcom社は、同社が手掛けるBroadR-Reach対応の物理層LSIや、同物理層と複数の入出力ポートを搭載したスイッチLSIを使った動作デモを見せた。車載ディスプレイへの映像信号の出力や、カメラが取得した映像データの伝送、アンプへの音声データの伝送などである(図2)。

図2 Broadcom社のデモ
図2 Broadcom社のデモ
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