図1 Project Primetimeを担当するAdobe社 Director of Marketing, Video AdvertisingのCampbell Foster氏(左)と、Senior Product Manager, Video SolutionsのCathi Kwon氏(右)
図1 Project Primetimeを担当するAdobe社 Director of Marketing, Video AdvertisingのCampbell Foster氏(左)と、Senior Product Manager, Video SolutionsのCathi Kwon氏(右)
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図2 第3世代移動通信の回線を用いてHLSでiPadに動画を配信するデモ。切り替え時のバッファリング時間を感じさせずに、動画コンテンツから動画広告にスムーズに切り替わる。
図2 第3世代移動通信の回線を用いてHLSでiPadに動画を配信するデモ。切り替え時のバッファリング時間を感じさせずに、動画コンテンツから動画広告にスムーズに切り替わる。
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 米Adobe Systems社は、放送局やCATV事業者などがインターネットなどのIPネットワークを用いて、放送番組を同じ時間帯にIPサイマル配信するための動画配信基盤「Primetime
Simulcast」を開発した。特徴は、視聴者の属性などでターゲットを絞った動画広告を、放送コンテンツ中に動的に挿入できる仕組みを備えていること。2012年5月20日から米国ボストンで開催中のケーブルテレビ関連の展示会「Cable
Show 2012」で公開した。ここにきて米国で広がりつつある、スマートフォンやタブレット端末向けに放送コンテンツを配信するサービスを中心に採用を目指す。

 Adobe社は、2012年2月に放送事業者向けの動画配信基盤を拡充する「Project
Primetime」と呼ぶ技術群の開発プロジェクトの開始を表明していた。既にスポーツなどのライブ配信向けには「Primetime
Highlight」と呼ぶ技術基盤を発表済み。今回はこのプロジェクトの一環で、対象を放送番組の全般に広げた形だ。同社は2012年第2四半期にも、Primetime
Simulcastの提供を開始する。

 動画配信技術の中心は、HTTPを用いた適応型ストリーミング技術である。Adobe社の「HTTP Dynamic
Streaming(HDS)」に加え、米Apple社がスマートフォン「iPhone」やタブレット端末「iPad」で採用している「HTTP
Live Streaming(HLS)」に対応する。これに合わせてAdobe社は2012年6月に、動画配信サーバー向けソフトウエア「Adobe
Media Server 5」やコンテンツ保護技術「Adobe Access
4」をiOSに対応させる。この他、MPEGが標準化したHTTPを用いたストリーミング技術の国際標準技術「MPEG-DASH」にも対応する。

 動画広告の管理システム向けソフトウエア基盤「Adobe
Auditude」では、視聴者による広告の視聴動向や、広告効果を測定する仕組みなどを拡充する。こうした詳細な視聴動向を分析するサービスが広がることで、放送と組み合わせた動画配信サービスの新しいビジネスモデルを探る動きが活性化することにつながりそうだ。