16コアのGPUを混載する4コアのアプリケーション・プロセサ
16コアのGPUを混載する4コアのアプリケーション・プロセサ
[画像のクリックで拡大表示]
DRAMアクセスのバス幅の歴史
DRAMアクセスのバス幅の歴史
[画像のクリックで拡大表示]
K3V2のパフォーマンス
K3V2のパフォーマンス
[画像のクリックで拡大表示]
16コアGPUの性能
16コアGPUの性能
[画像のクリックで拡大表示]
Ascend D quadの外観
Ascend D quadの外観
[画像のクリックで拡大表示]

 中国Huawei Technologies社は2012年2月26日、4コアのアプリケーション・プロセサを搭載したスマートフォン「Ascend D quad」を発表した。ソフトウエア・プラットフォームとしてAndroid 4.0を搭載する。これまで同社は、ローエンドやミドルレンジの製品を中心に存在感を示してきたが、ついにハイエンドにも進出してきた格好だ。

 4コアのアプリケーション・プロセサに加えて、16コアのグラフィックス処理回路(GPU)、2マイクによるノイズ・キャンセル技術、1280×780ピクセルの4.5型液晶ディスプレイ(330ピクセル/インチ)、8Mピクセルの裏面照射型CMOSセンサ、5.1チャネルのサラウンド・オーディオなど、最新のデバイスを搭載したのが特徴。デザイン面でも8.9mmの薄型、狭額縁など韓国や日本の最新のスマートフォンと比較してそん色がない。製品の記者説明会では、2コアのアプリケーション・プロセサを搭載した「iPhone 4S」および「Galaxy Nexus」、4コアのアプリケーション・プロセサである米Nvidia社の「Tegra 3」を搭載した「ASUS Eee Pad Transformer Prime」を引き合いに出し、いずれに対しても高性能であることをアピールした。

 4コアのアプリケーション・プロセサはHuaweiの子会社HiSilicon Technologies製の「K3V2」と呼ぶLSI。ここに16コアのGPUも混載する。GPUについては「パートナー企業から技術供与を受けているが、企業名は秘密」(Chairman of Huawei Device のRichard Yu氏 )という。動作周波数として1.2GHzと1.5GHzのモデルを用意する。競合他社の4コア製品に対しては、DRAMへのアクセス・バスを64ビットにすることで処理性能を向上させたという。

 2次電池による動作可能時間の長さもアピール・ポイントとした。4コアのプロセサ、16コアのGPUを処理内容に応じて最適に制御する、同社が「A.I.PS(artificial intelligence power scaling)」と呼ぶ機能を搭載することや、移動通信の際に通信チャネルを素早く検知するアルゴリズムを搭載するなどすることで、30%の消費電力削減を実現した。この結果、1800mAhのリチウム・イオン2次電池を搭載し、満充電状態の際、典型的な利用方法で1日~2日間動作するという。2500mAhの大容量の2次電池を搭載するモデル「Ascend D quad XL」には2500mAhの2次電池を搭載し、満充電状態で2~3日間利用できる。Ascend D quadが厚さ8.9mm×幅64mm×縦129mmであるのに対し、quad XLは厚さ10.9mm×幅64mm×縦129mmと2mm厚い。

 Ascend D quad/quad XLに加えて、米Texas Instruments社のアプリケーション・プロセサ「OMAP4460」を搭載したAscend D1も併せて発表した。こちらはコア数は2で、動作周波数は1.5GHz。筺体の形はAscend D quadと同じ。

 Ascend quad/quad XLは移動通信方式としてHSPA+、Ascend D1はTDD/FDD-LTEに対応する。前者が2012年第2四半期、後者が同年4月に中国、欧州、アジア太平洋地域、北米/南米、中東などの地域で販売を開始するという。「Ascend quad/quad XLでも2012年第3または第4四半期にTDD/FDD-LTE対応の機器を投入する計画」(Yu氏)である。