赤線部が移転予定地
赤線部が移転予定地
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 川崎市(神奈川県)は2012年2月24日、京浜臨海部の殿町地区に国立医薬品食品衛生研究所の移転誘致を進めると発表した。同地区は、2011年12月に国から「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」として指定された場所。特区指定後初の大型誘致案件であり、本案件を機に、同市は特区に対する取り組みの加速を狙う。

 京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区は、個別化/予防医療時代に対応した革新的医薬品/医療機器の開発、製造と健康関連産業の創出を目標とするもの。重点的な取り組みとして、次の三つを掲げている。すなわち、(1)健診データを活用した検体バンク・検体情報ネットワークの整備、(2)革新的な医薬品/医療機器の新たな評価/解析手法の確立と国際共同治験の迅速化、(3)ニーズ主導のマッチングによるベンチャー企業などの創出、産業化、である。

 今回の国立医薬品食品衛生研究所の移転は、このうち(2)の取り組みを進める上で重要な役割を担うことになるという。なお同研究所は、1874年に設立された日本で最初の国立試験研究機関。現在は東京都世田谷区に立地しているが、老朽化が進み移転を計画していた。

 移転予定地は、KING SKYFRONT(殿町3丁目地区)で、敷地面積は2.7ha。用地取得に掛かる48億6000万円は、国と川崎市がそれぞれ予算化を図る。具体的には、国は総合特区推進調整費(平成23年度)を活用して18億円分を予算化。一方、川崎市は、土地開発基金を財源として、2014(平成26)年度までに段階的に残りの用地を取得。取得した用地は、国に無償で貸付する。