日立製作所と中国のグループ統括会社である日立(中国)有限公司は、2015年度の中国における連結売上高を2010年度比で約1.6倍の1600億元(約1兆9200億円)に拡大することを目指す「中国事業戦略2015」を策定した(ニュースリリース)。

 中国は、2006~2010年の平均GDP成長率が年率10%を超え、2011年、2012年も10%近くのGDP成長率が予測されるなど、経済成長が続いている。日立は現在、中国に140社以上のグループ会社と約6万人の従業員を有し、ATM、火力発電システム、鉄道システム、昇降機、建設機械、高機能材料、医療機器などの事業を展開している。2004年度に5975億円だった中国向け連結売上高は、2010年度には約1兆1880億円に成長し、日立グループ連結売上高の13%を占める最大の海外市場となっている。

 今後は、現地自治体や企業との連携強化や現地生産の拡大などを通じ、中国事業の成長を促進する。中国事業戦略2015に盛り込んだ、事業のローカリゼーションに向けた具体的な取り組みは以下の4つ。

1. パートナーリングの強化:中国内外市場を視野に入れた、政府、有力な中国企業との関係強化
2. 現地化の推進・拡大:研究開発、設計、製造、エンジニアリング、販売、保守サービスといった事業機能に加え、調達、人材、財務に関する活動の現地化
3. 伸長分野への対応:環境・省エネルギー関連、都市化に伴う社会インフラ関連、サービス関連事業の展開
4. 地域戦略:経済の発展が著しい地域、日立グループのブレゼンスが高い地域、有力パートナー開拓が可能な地域に着眼した事業推進

日立グループ主要事業の中国戦略
(表:日立製作所)
[画像のクリックで拡大表示]

 また、日立グループは、グループ経営基盤の強化やグループ営業・ファイナンスおよび研究開発・設計体制の強化など、グループシナジーの発揮を加速する。具体的な施策は以下の4つ。

1. グループ経営基盤強化:日立グループが全世界的に推進するコスト構造改革プロジェクト「Hitachi Smart Transformation Project」の一環としてのコスト削減の推進や、投資、人材、CSR、環境、知的財産、法務などシェアード・サービスの拡充
2. グループ営業の強化:
(1)大型案件の横断的対応
(2)現在12カ所の営業拠点を2015年度までに16カ所に拡充
(3)12都市におけるグループ総合展開催(2~3回/年)
3. グループファイナンスの運用拡大:日立(中国)財務有限公司を中心とした資金調達の拡大とグループ会社への展開
4. イノベーション強化:2015年度までに中国における日立グループの設計、研究開発人員を3000人に拡大 (日立(中国)研究開発有限公司:200人、設計ほか:2800人)