ソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏
ソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏
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2016年度に連結営業利益1兆円を目指すことを宣言したスライド
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 ソフトバンクは2012年2月2日、2011年度第3四半期の連結業績を発表した。2011年4月~12月累計で、売上高が前年同期比6.6%増の2兆3981億9200万円、営業利益が同10.5%増の5327億8300万円の増収増益だった。経常利益は同11.0%増の4439億3400万円、純利益は同75.7%増の2500億8100万円。決算説明会で、同社 代表取締役社長の孫正義氏は「2016年度には通期で連結営業利益1兆円を目指す」との目標を掲げた。同社が期限付きの業績目標を公表するのはこれが初めてだという。

 孫氏は「ハードウエアを製造する企業の赤字が相次いでいるが、これは一時的な現象ではない」と指摘。「これまで、農業から工業革命、その後の情報革命と大きなパラダイムシフトが起こってきた。現在は工業革命の末期であり、先進国がものづくりにおいて技術力で新興国を凌駕するのは難しくなっている。現に、米Apple社、米Google社、米Facebook社、米Amazon.com社といった米国を牽引している企業は、すべて情報産業の企業だ」(同氏)。こうした情報産業の企業の1社として「コンスタントに1兆円稼げる企業にしたい」と同氏は語った。

 ちなみに、孫氏によると営業利益が1兆円を超えている企業は全世界に42社しかないという。米IBM社や米Intel社、Apple社などで、実際には石油系や資源系の企業が多い。日本では現在はNTT(持ち株会社)のみで、過去を振り返ってもNTTとトヨタ自動車しかないという。

「KDDIを追い抜いた」

 全体の売上高のうち、移動体通信事業の通信料売り上げは前年同期比13%増の1兆801億円で営業利益は同10%増の3464億円。移動体通信事業の営業利益で初めてKDDIを逆転したという。

 KDDIがスマートフォン「iPhone 4S」を発売したことによる、MNP(番号ポータビリティ)制度を利用したiPhoneユーザーの転出は、2011年10~12月で5万人程度で済んだという。ソフトバンクはiPhone 4Sの具体的な販売台数を公表していないが、「KDDIを大きく上回っていると自負している」(孫氏)。同氏は「100万人規模の解約が出てauに大移動するのではないかと心配していたが、特別キャンペーンが大変有効に機能した(Tech-On!の関連記事)」と語った。このキャンペーンにより約300億円のコストがかかり、その分、利益を押し下げたが、「今回は特別で、あくまで一時的なもの」(同氏)だとした。

 現在は連結対象ではないが、買収したウィルコムの現状にも触れた。2011年4~12月の純増契約数は56万件で、これまでの純減の流れに歯止めを掛けた。純増が50万件を超えたのは6年ぶりだという。PHSと3Gを合わせたウィルコムの累計契約数は、2011年12月の時点で450万契約である。連結化の時期について孫氏は「検討中であり、その気になればいつでも入れられるという状況だ」と語った。