PMMAフィルムとガラエポ基板で作製した太陽電池モジュール(右)。左は、比較用にガラス板で作製したモジュール。
PMMAフィルムとガラエポ基板で作製した太陽電池モジュール(右)。左は、比較用にガラス板で作製したモジュール。
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耐候性と光透過率を示したデータ
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 三菱レイヨンは、ガラス板の代わりに同社製のアクリル樹脂(poly(methyl methacrylate):PMMA)フィルムをパネル表面の保護用に、そしてパネルの背面にガラスエポキシ(ガラエポ)基板を用いた太陽電池モジュールを試作した。最大の特徴はモジュールの重さが、ガラス板を用いた場合より4割軽くなることだという。

 三菱レイヨンによれば、このモジュールの発電性能はガラス板を用いた場合と同じであるという。PMMAの光透過率は可視光領域ではガラスとほぼ同じであるためだ。波長が400nm以下の紫外領域での光透過率はガラスより大幅に高い。ただし、試作したモジュールでは、紫外光の一部「UVA」を遮断する機能をPMMA板に追加した。太陽電池にとって紫外光の透過率が高いことは必ずしもメリットにはならないためだ。

 モジュールとしての耐久性も、ガラス板を用いた場合と同じであるとする。PMMAフィルムの厚みは0.125mmと薄いが、「雹(ひょう)を想定した耐衝撃性でガラス板と同等であることを確かめた」(三菱レイヨン)という。

 PMMAフィルムのコストはガラス板より低いとする。ただし、現時点ではモジュール背面に用いるガラエポ基板のコストが高いことが課題の一つだという。「ガラエポ基板は、プリント配線基板メーカーから調達しており、銅板などを剥がすコストがかかっているため」(同社)。当初から太陽電池用にガラエポ基板を製造すれば、コストは下がると見る。