NTTドコモ 代表取締役社長の山田隆持氏
NTTドコモ 代表取締役社長の山田隆持氏
[画像のクリックで拡大表示]

 NTTドコモは2011年11月2日、2011年度上期(2011年4~9月)の連結決算を発表した(NTTドコモの報道発表資料)。売上高は前年同期比1.2%減の2兆1130億円、営業利益は同4.3%減の5085億円だった。2011年度第2四半期(7~9月)単独では、売上高は同1.6%増の1兆657億円、営業利益は同17.3%減の2408億円だが、前年同期の営業利益には故障制度見直しによる引当金等に相当する550億円が含まれていたため、これを除くと実質的には2.0%の増益だとした。

 2011年度上期の営業利益は、前年同期より音声収入が961億円減ったという。このうち380億円がバリュープランによる影響である。一方、パケット収入は695億円増加した。また、スマートフォンの普及により、故障修理件数や電池パック安心サポートの件数が減ったため、費用を505億円削減でき、この分、利益を押し上げたという。

 ARPUは、2010年度第2四半期では5200円だったのに対し、2011年度第2四半期では4970円に下がった。音声ARPUは2660円から2280円に減少したのに対し、パケットARPUは2540円から2690円に上昇している。

 スマートフォンの販売数は、2010年度通期で252万台だったのに対し、2011年度は上期だけで363万台と、既に2010年度を上回っている。2011年度通期では850万台を見込んでいるという。2011年10月14日にKDDIとソフトバンクモバイルが発売した「iPhone 4S」の影響については、「直後には転出数が増えたが、現在の転出数は従来の1.2倍程度で落ち着いている」(NTTドコモ 代表取締役社長の山田隆持氏)とした。

 タイの洪水でフレキシブル基板の生産が止まっている件は、少なくともNTTドコモのスマートフォンには影響していないという。ただし、フィーチャーフォンには少し影響が出ており、2機種程度の発売が数週間遅れる可能性があるとした。

2015年にはデータ通信量は12倍に

 NTTドコモは同時に、2015年に向けた取り組みを示す「中期ビジョン2015」も発表した(NTTドコモの報道発表資料)。

 タブレット端末を含むスマートフォンの契約数は、2011年では1020万契約の見込みだが、2015年には4000万契約を目指すという。同社のLTE通信サービス「Xi」の契約数は、2011年の130万契約から2015年には3000万契約まで伸ばす計画。パケット収入は、2011年が約1.8兆円なのに対し、2015年には約1.5倍の約2.7兆円を目指す。

 通信トラフィック量は、2015年には2011年の約12倍にまで伸びる見込みだという。利用する周波数帯域を2倍にし、LTEで電波の利用効率を3倍に高めることで、現在の6倍のトラフィックに対応できるようにする計画だが、それでも予想される需要の半分しかない。これについては、無線LANなどへの通信のオフロードやフェムトセルの普及、ヘビー・ユーザーに対する動的トラフィック・コントロールなどでカバーするという。

 Xiのエリア展開のための費用は、2010~2012年度は当初、約3000億円を見込んでいたが、これを約3300億円に増額する。2013~2015年度には、約5500億円を投入する計画だ。これにより、2014年度には人口カバー率98%を目指す。また、最大100Mビット/秒の高速通信も、2014年度以降は全国で対応する予定だという。

 新規事業としては、メディア・コンテンツ事業、コマース事業、金融・決済事業、メディカル・ヘルスケア事業、環境・エコロジー事業、M2M事業、アグリゲーション・プラットフォーム事業、安心・安全事業などに取り組むという。新規事業の売上高は2011年では4000億円程度だが、2015年には約2.5倍の約1兆円に育てる。NTTドコモがこうした事業を手掛ける際の優位点としては、「5800万契約を超えるユーザーと直接接点を持っていること」「携帯通信端末は、ユーザーが24時間所持し、認証機能を備え、GPSにより位置情報を取得できるため、さまざまサービスを提供できること」の2点を挙げた。