東芝は、2011年度上期(2011年4~9月)の連結決算を発表した。急激な円高と東日本大震災の影響などにより、デジタルプロダクツ部門と電子デバイス部門を中心に減収となり、全体の売上高は前年同期比5%減の2兆9125億円になった。営業損益は、家庭電器部門が好調で社会インフラ部門も堅調に推移したものの、電子デバイス部門が減益になり、結果として全体の営業利益は前年同期比23%減の802億円になった。

 前年同期比で唯一の増収増益となった家庭電器部門は、省エネ需要の高まりでLED照明や空調機器が特に好調だった。これに構造改革の効果が加わり、営業利益は前年同期に比べて57億円増えて59億円になった。同部門の売上高は、前年同期比4%増の3066億円だった。

 減収減益となった電子デバイス部門は、半導体事業が急激な円高や東日本大震災、NANDフラッシュ・メモリ価格の下落、システムLSIの需要減の影響などを受けた。同部門の半導体事業の売上高は前年同期比13%減の5024億円、営業利益は同48%減の297億円だった。この結果、同部門全体では、売上高が前年同期比11%減の8128億円、営業利益が同35%減の430億円になった。

 2011年度上期が減収減益となったものの、2011年度通期の業績見通しは2011年5月9日に発表した内容を変更しなかった。2011年度下半期に「NANDフラッシュ・メモリだけで900億円の利益が見込める」(東芝)など、従来の業績見通しを達成できるとの判断からだ。
 NANDフラッシュ・メモリは、2011年9月に24nm世代以降の比率が60%に達している。これを2012年3月に85%まで高めるとともに、「スマートフォンの勝ち組と組んで設備の稼働を拡大させる」(東芝)計画である。なお、現時点でNANDフラッシュ・メモリの新しい増産投資は考えていないとした。