試作した4K×2Kテレビのデモの様子。中央がICC技術を使ったもの
試作した4K×2Kテレビのデモの様子。中央がICC技術を使ったもの
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 シャープは、4K×2K(3840×2160画素)映像の表示に対応した大画面の液晶テレビの開発に着手した。フルHD映像(1920×1080画素)から高品質な4K×2K映像を生成する技術を開発するI3(アイキューブド)研究所と共同で、同社の技術を液晶テレビに導入する。両社は、2カ月ほど前から共同開発を本格化しており、2012年秋の製品化を目指す。

 2011年9月2日にドイツのベルリンで開幕した欧州最大の家電展示会「IFA 2011」のシャープ・ブースの商談スペースで、限られた顧客に試作機のデモを披露した。試作機の画面サイズは60型。I3研究所が開発した画像処理LSI「ICC」(integrated cognitive creation)を使って、シャープの4K×2Kパネルに映像を表示。フルHD映像と、業務用のアップコンバーター装置、ICCを使った映像の3種類を比較してみせた。

 ICCは、フルHD映像から4K×2K映像を生成する機能を実現したLSIである。4K×2K映像にアップコンバートする際の映像信号の補間や補正で、人間が対象物を見たときと同様の視覚情報を得られるようにしたことが特徴だ。I3研究所は、ソニーでテレビ向けの高画質化技術「DRC」(digital reality creation)を開発した近藤哲二郎氏や技術者らが中心となって創業したベンチャー企業である。2011年5月にLSIの開発を発表していた。

 今回の試作機では、シャープの液晶パネルに合わせてICCの信号処理を最適化するなどの工夫を加えると同時に、液晶パネル側でも駆動回路などをICCの出力信号に合わせて調整した。シャープの執行役員で、AVシステム開発本部長の寺川雅嗣氏は、「製品化までにはハードルが残っているが、来年のIFAでは製品として発表できるように開発を進めたい。4K×2Kは、60型以上がターゲットになるだろう」と話した。