Samsung社は、スマートテレビ向けアプリケーション・ソフトウエアの豊富さをブースでアピール
Samsung社は、スマートテレビ向けアプリケーション・ソフトウエアの豊富さをブースでアピール
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 インターネット接続機能を備えた薄型テレビ(スマートテレビ)向けのアプリケーション・ソフトウエアやサービスを開発する基盤の競争が激しさを増している。2011年9月2日からドイツのベルリンで開催中の欧州最大の家電展示会「IFA 2011」では、テレビ・メーカー大手が展示会場で、自社が注力する開発基盤を前面に押し出した展示で優位性を競っている。2011年末から2012年にかけて、外部のソフトウエア開発者を囲い込む動きが活発になりそうだ。

 オランダRoyal Philips Electronics社と韓国LG Electronics社、シャープは、IFAの会期に合わせて、スマートテレビ向けにアプリケーション・ソフトウエアやサービスを開発するための基盤の構築で提携すると発表した。3社は欧州で「Philips Smart TV」「 LG Smart TV」「Sharp Aquos Net+」というテレビ向けのインターネット・サービスをそれぞれ展開しているが、今回の提携でソフトウエア開発者は3社のテレビで共通のソフトウエアやサービスを展開できるようになる。

 具体的には、HTMLの次世代版「HTML5」や、家電向けのHTML技術「CE-HTML」、欧州のインターネット対応テレビの規格「HbbTV」などの標準技術を基本としたソフトウエア開発基盤を共同開発する。2011年10月までにソフトウエア開発キットのベータ版を公開し、開発者の取り込みに着手する。

 既にソフトウエア開発キットの提供を始めている韓国Samsung Electronics社は、IFAに合わせて実施した記者会見で、テレビ向けアプリケーション・ソフトウエアの累計ダウンロード数が「3カ月にほぼ2倍のペースで増えている」と胸を張った。同社のブースは、ほぼ半分がスマートテレビと、そのアプリケーション・ソフトウエア関連の展示で埋まった。

 ソニーは、米Google社などと開発したテレビ向けのソフトウエア基盤「Google TV」対応機でアプリケーション・ソフトウエアの配信サービスのデモを見せた。実際のサービスの開始時期は未定だが、配信サービスの「Androidマーケット」で好みのスポーツ動画をテレビ放送とインターネットの配信動画から横断的に探すことができるソフトウエアや、ゲーム・ソフトなどの開発が進んでいることをアピールした。

 パナソニックは今年のCESで無償公開したソフトウエア開発基盤「Ajax-CE」を使った配信サービス「VIERA Connect Market」を、東芝は欧州などで展開しているコンテンツ配信サービス「Toshiba Places」のデモをブース内で展開した。

 現在、ソフトウエア開発者は、テレビ・メーカー各社のサービス基盤が乱立しているため、開発リソースの確保に苦心しているというのが現状だ。このため、テレビ向けではなく、開発しやすいタブレット端末やスマートフォン向けにアプリケーション・ソフトウエアを開発し、テレビとの連携を模索する動きが盛り上がりを見せている。今後、各社の基盤が一つにまとまっていくのか、いずれかの基盤が他を駆逐していくのか、あるいは別のところから勝者が現れるのか。スマートテレビを巡る主導権争いが今後、本格化しそうだ。