日本市場に投入した直管形LEDランプ
日本市場に投入した直管形LEDランプ
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直管形LEDランプへの配線方法
直管形LEDランプへの配線方法
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今秋出荷を始めるLED電球
今秋出荷を始めるLED電球
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 フィリップス エレクトロニクス ジャパンは2011年8月23日、オフィスや住宅向け照明の日本市場への参入を発表し、市場投入する直管形LEDランプやLED電球を披露した。同社はこれまで、日本の照明関連市場では業務用のランプや照明モジュール、自動車向けバルブ、特殊用途ランプなどを手掛けてきた。オフィスや住宅の室内照明を想定した製品を日本市場で展開するのは今回が初めてという。

 直管形LEDランプやLED電球など、オランダPhilips Lighting社としては日本以外でオフィスや住宅向け製品を販売してきており、こうした実績のある製品を日本市場に投入する。日本市場では照明を取り巻く環境が変化しており、節電対策などが喫緊の課題になっていることから、フィリップス エレクトロニクス ジャパンはオフィスや住宅向けの市場への参入に踏み切ったという。新規市場への参入によって、同社の照明事業として「2ケタ成長を目指す」(同社 ライティング事業部 事業部長の岸和紀氏)。なお、オフィスや住宅向けに続き、植物育成や農業設備などに向けた照明についても日本市場への展開について2011年秋に発表予定とする。

“レトロフィット”のコンセプト


 新規参入に際し発売した直管形LEDランプは、長さ1200mmという40W蛍光灯の代替に向けた「MASTER LEDtube」。一般的な蛍光灯が使うG13口金を用いている。蛍光灯の点灯に使っていた安定器を外すといった配線工事を施せば、蛍光灯を用いてきた既存の照明器具に直管形LEDランプを接続できるとする。既存の蛍光灯をランプのみ代替する、“レトロフィット”というコンセプトの製品である。直管形LEDランプを点灯させる電源回路はチューブ内に内蔵しており、器具への設置に当たっては別途電源回路を外付けする必要はない。

 発売した製品は、色温度4000Kと6500Kの2種類。定格電力22Wで全光束はいずれも1650lm、ビーム角140度、平均演色評価数(Ra)85、寿命4万時間(光束維持率70%までの時間)である。消費電力は、銅鉄安定器を用いる蛍光灯(安定器の消費電力込み)に比べて半分という。フィリップス エレクトロニクス ジャパンによれば、FLR蛍光灯を60本使っていたオフィスの照明をMASTER LEDtubeに変更した例を試算したところ、消費電力は48%減るという。初期費用はFLR蛍光灯を用いる場合よりも高くなるが、消費電力を抑えられることで、初期費用とランニングコストを含めた費用は「3.88年でMASTER LEDtubeを使う方が安くなる」(同社 ライティング事業部 ゼネラルライティング マーケティングリーダーの久保徳次氏)。

 今後、上記2品種に加え、日本市場で引き合いが強い品種、例えば長さ580mmの品種や色温度5000Kの品種などの投入を準備しているという。MASTER LEDtubeについては、2011年度に日本市場で出荷数量30万本、2012年度に同100万本を狙う。既に日本市場での製品出荷を一部始めている(Tech-On!関連記事)。

リモートフォスファー技術を使うLED電球もラインアップ


 発売したLED電球は「LED myVision」という製品で、明るさが20形白熱電球に相当する2種類(色温度2700Kと6500K、いずれも全光束250lmで消費電力5W)、30形白熱電球に相当する2種類(色温度2700Kと6500K、いずれも全光束350lmで消費電力7W)、40形白熱電球に相当する品種(色温度6500K、全光束600lm、消費電力9W)の合計6種類。いずれも、E26口金を備える。ビーム角は180度である。2011年秋に出荷を開始する予定。市場想定価格は、20形白熱電球相当品が2000円前後、30形白熱電球相当品が2500円前後、40形白熱電球相当品が3000円前後とする。

 LED電球には、リモートフォスファー技術を用いており、均一な光を実現しているとする。リモートフォスファー技術とは、光源となるLEDと離して、波長変換する蛍光体を配置するというもの。LED電球では、同一平面内に青色LEDを複数個並べたものに、黄色蛍光体を練り込んだ半球状の拡散板を被せている(この拡散板の上には、さらに半球状のカバーを被せてある)。複数個の青色LEDからの光が混ざり合った後に蛍光体に当たるので、ギラツキのない光が得られるのが特徴である。

 2011年末には同310度と広い品種を日本市場に投入する予定。