ウェルスタイル 代表取締役社長の谷生芳彦氏(右)と同社 事業開発部 部長の蔦澤崇光氏(左)
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wellnoteの画面例
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 2011年7月、「wellnote」という新たなWebサービスが開始された。家庭内での健康管理を促進するためのサービスであるという。

 サービスを運営するのは、ベンチャー企業のウェルスタイル。谷生芳彦氏(同社 代表取締役社長)が、前職の投資銀行勤務時代から、かねて構想してきたサービスを実現するために立ち上げた会社である。

 wellnoteの狙いや今後について、谷生氏に話を聞いた。


――wellnoteとは、どのようなものですか。

 端的に言えば、“家庭内Facebook”です。FacebookやTwitterのようなSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)に対して、wellnoteはPNS(パーソナル・ネットワーク・サービス)と位置付けられます。家族間だけのクローズドな環境で利用できるコミュニケーション・ツールです。

――そこに、健康管理の要素を加えたというわけですね。

 その通りです。ですから、より厳密に言えば、wellnoteとは、“家庭内Facebook for ヘルスケア”と言えるかもしれません。

 もちろん、単に家庭内Facebookのように、家族同士でコミュニケーションを取り合うだけの使い方でも構いません。先日の東日本大震災のような災害時に、家族で連絡を取り合うツールとしても使えるでしょう。ただし、日常的に家族がコミュニケーションを取り合うキッカケになる話題は何か、離れた場所に暮らす家族と日常的に連絡を取りたい話題は何かと考えると、それはやはり、健康についてです。

 このサービスの主なターゲットとなるのは、子育て世代の夫婦だと考えています。自分自身の健康はもちろんですが、それ以上に、子どもの健康や、離れた場所に暮らしているかもしれない高齢のご両親の健康状態など、家族の健康管理が特に気になる世代だからです。

――具体的に、wellnoteには健康管理の要素をどのように取り入れているのでしょうか。

 医師などの医療従事者が、健康情報をリアルタイムでつぶやく「診察室Live!」という機能(ページ)を備えています。現時点では100名弱の医療従事者の協力を得て、健康情報を随時提供してもらっています。例えば、今夏は「手足口病」が大流行していますが、それがニュースなどで話題になったかなり前に、診察室Live!では手足口病の流行の兆しに関する情報が提供されていました。

 例えば利用者は、こうした情報の中から、気になるものや家族に教えたい情報を、メッセージを添えてシェアするという使い方ができます。気に入った医療従事者をお気に入り登録して、お気に入り一覧にフィードしておけば、それは、「かかりつけ医を持つこと」と言えるかもしれません。医療従事者が提供する健康情報をキッカケに、家族内でお互いの健康管理に関してコミュニケーションを取ってもらえればと考えています。

 利用者が医療従事者に直接コンタクトすることはできません。ただし、「お医者さん達に聞きたいこと」というボックスを設けており、そこに質問を投稿することはできます。医療従事者側の専用画面では、これらの投稿を閲覧できるようになっているので、利用者からの質問を踏まえた情報を提供してくれている医療従事者の方もいます。

――体重など自分の健康情報を管理したり、それに応じたアドバイスを提供してもらったりするWebサービスは、世の中に幾つも存在します。

 そのようなサービスの場合、「なかなか継続しない」という話をよく聞きます。それはなぜかと考えると、人とつながっていないからだと私は思います。自分自身で健康管理をする、いわゆるセルフメディケーションではなく、お互いに健康管理をする“コメディケーション”こそが、wellnoteのポイントであり、他のWebサービスとの大きな違いだと考えます。

――健康情報を提供する医療従事者の協力は、どのように得ているのでしょうか。

 wellnoteのコンセプトに共感していただいた医療従事者の方々に、ボランティアで協力してもらっています。予防医療や地域医療においては、こうした家庭内での健康管理が極めて重要であるため、予防医療関連の学会などからも支援してもらっています。

――まだサービスを始めたばかりですが、今後の展望をどう描いていますか。

 現在、地域医療連携の動きが活発になってきています。病院と診療所のネットワーク、あるいは診療所と家庭のネットワークを構築する動きは、ますます進んでいくでしょう。我々のサービスは、さらにその先にある家庭内のネットワークです。つまり、さまざまな地域医療連携の動きとは補完関係にあり、将来的には連携していくことも可能だと我々は見ています。今後の予防医療を支えるインフラの一つにしていきたいと考えています。