Androidを搭載したMotorola Mobility社のスマートフォン「DROID 3」
Androidを搭載したMotorola Mobility社のスマートフォン「DROID 3」
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 米Google社は、米Motorola Mobility Holdings社を買収すると発表した(発表資料)。Motorola Mobility社は、2011年1月に設立された。旧米Motorola社の携帯端末やセットトップ・ボックス(STB)などの家庭向け製品を扱う企業である。Google社は買収に際して現金で約125億米ドルを支払う。買収は2012年初期頃までに完了する予定という。

 Google社、CEOのLarry Page氏はアナリストとの電話会議で、「我々は、Motorola Mobility社の買収が合意したことにとても喜んでいる。両社の組み合わせは,株主にとてもメリットがあることだし、素晴らしいユーザー体験と革新を導くことになる」と話した。「弊社のパートナーである通信事業者の協力を得て、我々はMotorola社が提供している豊かなユーザー体験と最先端の製品を次のレベルに持っていく」(Motorola Mobility社、Chairman兼Chief Executive OfficerのSanjay Jha氏)。

 Motorola Mobility社の買収は、Google社にとって最初の大手ハードウエア・メーカーの買収となる。Google社は今回の買収戦略に関して具体的な情報を公開していないが、Google社のソフトウエア・プラットフォーム「Android」を強化するという狙いは明らかである。

 特に業界では、 Androidに関連する特許訴訟が頻発する中で, Motorola Mobility社が保有する豊富な特許群が買収の最大の目的と見る声が多い。Google社のPage氏が公開したブログ記事では,「Motorola(Mobility)社の買収は、Google社の特許群を強化することになる。これによって、今後はMicrosoft社やApple社などの企業の非競争的行為からAndroidを守れる」と主張する(同ブログ記事)。Motorola Mobility社のJha氏によると、同社は全世界に1万7000個以上の特許を保有し、現在は約7500個の特許を申請中としている。

 もっとも、Androidを搭載するスマートフォンを開発するメーカーにとって、今回の買収には懸念材料もある。例えば, Google社はAndroidに実装する新技術情報について,他社よりMotorola Mobility社を優先するのではないかという心配だ。これに関してGoogle社は、Motorola Mobility社を今後も独立企業として運営を続けると強調する。Google社、Mobile、Senior Vice PresidentのAndy Rubin氏は、「Androidのプラットフォームの管理者として、(1社を優遇するのではなく)各社のバランスを取ることは、Google社にとって重要な役割である」(Rubin氏)としている。