CINEMA 3D「LW5700」
CINEMA 3D「LW5700」
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NANO FULL LED「LZ9600」
NANO FULL LED「LZ9600」
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 LG Electronics Japanは2011年6月15日、FPR(film patterned retarder)方式の3次元(3D)液晶テレビ「CINEMA 3D『LW5700』」と、最薄部が0.88cmの薄型液晶テレビ「NANO FULL LED『LZ9600」」の2シリーズを日本国内で同年6月下旬から発売すると発表した。CINEMA 3D「LW5700」は32型、42型、47型の3モデル、NANO FULL LED「LZ9600」は55型と47型の2モデルを用意した。価格はオープンだが、実売価格はCINEMA 3D「LW5700」の32型が15万円前後、NANO FULL LED「LZ9600」の47型が29万円程度になる見込み。

 CINEMA 3D「LW5700」が採用したFPR方式は、円偏光を利用して右目と左目に入る映像を変えるものである。LW5700では液晶パネルの垂直方向に右偏光と左偏光の領域を交互に設け、右目用と左目用の映像をそれに合わせて投影する。メガネ側では円偏光フィルタを設け、右目と左目で異なる映像が入るようにする。現在、市場に多く出回る3Dテレビはディスプレイに右目用と左目用の映像を交互に表示し、それと同期して右目と左目に入る映像を交互に切り替えるシャッターを備えたメガネで見るフレーム・シーケンシャル(アクティブ・シャッター)方式である。同方式と比べてFPR方式は「メガネに偏光フイルムを貼ったもので3D映像を楽しめるため、メガネが安価に作れる」「頭を傾けた状態でも3D映像を見られる」といった長所がある。こうした長所を訴えることで、「欧州や韓国に対して3Dテレビの普及が遅れている日本で3Dテレビを普及させる起爆剤にしたい」(LG Electronics Japan)という。

 一方、NANO FULL LED「LZ9600」ではチューナー部を台座内に持つことで薄型のデザインを実現した。液晶パネル・モジュール自体も薄くするため、背面に置いたバックライト用LEDと液晶セルの間にLEDの発光を均一化する微細なパターンを作り込んだ反射板と遮光板を置く構造を採用した(LG Electronics Japanはこの技術を「NANOライティングテクノロジー」と呼ぶ)。LEDバックライトは55型の場合に288個のLEDを搭載し、映像の明暗に応じてその明るさを変える制御「マイクロピクセルコントロール」も行っている。

日本市場への浸透度は予定通り

 韓国LG Electronics社が日本のテレビ市場に参入を表明したのは2010年9月のことである。その際に5年以内に日本国内でのシェアを5%以上にすることを目標にするとした。発表会の質疑応答で報道関係者からその進捗を問われ「想定通り」(LG Electronics Japan)と答えた。ただし、これまでの販売台数やシェアなどについては明らかにしなかった。

 LG Electronics社は日本に対して高級路線で参入しているが、「(薄型かつ高機能な)LX9500シリーズが日本の一定の層に受け入れられることが分かった」(LG Electronics Japan)。今後もLG Electronics社の技術力をアピールできる製品を日本市場に投入していくことで、長い時間かけて日本でも液晶テレビのトップメーカーになることを狙う戦略という。