図1 基調講演を行ったIntel社Executive Vice PresidentのSean Maloney氏。病気での療養期間を経たMaloney氏が「15カ月ぶりに台湾に来られてうれしい」と語ると、会場からは盛大な拍手が起こった
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図2 「Ultrabook」と呼ぶノート・パソコンの新コンセプトを提示
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図3 Ultrabookのコンセプトを体現した製品が2011年後半に登場する見込み
図3 Ultrabookのコンセプトを体現した製品が2011年後半に登場する見込み
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図4 「待たずに使える」ようにするための技術開発に取り組む
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 米Intel社は2011年5月31日、台湾・台北市で開催中の「COMPUTEX TAIPEI 2011」において、「Ultrabook」と呼ぶノート・パソコンの新しいコンセプトを提唱し、2012年末までに消費者向けノート・パソコンの40%がUltrabookになるとの予測を示した。基調講演に立った同社 Executive Vice PresidentのSean Maloney氏は、「2003年に『Centrino』でパソコンをモバイル化したときのように、パソコンを再発明するときだ」と訴えた。

 Intel社はUltrabookを、「劇的に薄く軽く、劇的にセキュアで、劇的に反応が良い。そして劇的に素晴らしいもの」(同社 Vice President, General Manager, PC Client GroupのMooly Eden氏)と定義し、タブレット端末のような携帯性や操作性を実現しながらも、パソコンとしての性能を犠牲にしないものだと説明する。

 Intel社は、2011年1月に正式発表した第2世代の「Core」プロセサ(開発コード名:Sandy Bridge)がUltrabookへの移行を促す第一歩だったと位置づけ、2011年後半からUltrabookのコンセプトを体現したノート・パソコンが多数登場するとした。その例として、台湾ASUSTeK Computer社が発表した「UX Series」や、中国Lenovo Groupの試作機を見せた。さらにIntel社は、Sandy Bridgeのアーキテクチャに22nm世代の製造技術を適用する「Ivy Bridge」(開発コード名)、22nm世代の技術で製造する新アーキテクチャの「Haswell」(同)を順次投入することで、Ultrabookへの移行が加速するとの見通しを示した(Tech-On!の関連記事)。

 Intel社は、Ultrabookの実現に向けた新しい要素技術も紹介した。「我々がタブレット端末から学んだことの一つは、応答性の重要さだ。人は何かをしたいときに、待ちたくないものだ」(Maloney氏)。そこでIntel社は開発中の技術として、(1)パソコンのスリープ中に、ときどきネットワークに接続してSNSなどのアップデートを取得しておくことにより、パソコンを再び使用し始めたときにすぐに最新情報が分かる「Smart Connect Technology」、(2)パソコンをスタンバイ状態にしたときに、主記憶の情報をフラッシュ・メモリに格納しておくことで、5~6秒でスタンバイから復帰できるようにする「Rapid Start Technology」、(3)フラッシュ・メモリをHDDのキャッシュとして利用することでHDDの大容量とSSD並みの読み書き速度を両立する「Smart Response Technology」、の三つを紹介した。これらの技術を採用したパソコンが「近いうちに市場に出てくる」(Maloney氏)見込みである。