ADKを構成する2枚のボード。手前がArduinoベースの入出力ボード、奥がセンサなどを搭載したボード
ADKを構成する2枚のボード。手前がArduinoベースの入出力ボード、奥がセンサなどを搭載したボード
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ADKを利用することで迷路脱出ゲームをタブレット端末で操作する実演
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タブレット端末で操作できる巨大迷路。台の上の人がタブレット端末を傾けると、それと同じように迷路が傾く
タブレット端末で操作できる巨大迷路。台の上の人がタブレット端末を傾けると、それと同じように迷路が傾く
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スマートフォンでロボットを操作するアールティの実演
スマートフォンでロボットを操作するアールティの実演
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ブリリアントサービスの野菜工場の実演
ブリリアントサービスの野菜工場の実演
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 米Google社は2011年5月10日、米国サンフランシスコで開催している開発者向け会議「Google I/O」において、Android搭載端末向けの周辺機器を誰でも自由に開発できる仕組み「Android Open Accessory」を発表した。周辺機器を開発するためのボードなどをセットにした「Accesorry Development Kit(ADK)」を日本のサービス・ロボット開発企業であるアールティが提供する(アールティの発表資料)。米Apple社は「iPhone」などに向けた周辺機器を認可制にすることで、巨額のライセンス料を得ている。Google社は、Androidの周辺機器を誰でも開発できるようにすることでApple社に対抗する。

 Android搭載端末と周辺機器はUSBで接続することを想定する。Android搭載端末の多くはUSBホストに対応していないため、周辺機器側をUSBホスト、Android搭載端末側をUSBクライアントとして接続する。将来はBluetoothでも接続できるようにする計画だ。

 周辺機器を利用できるようにする「Open Accessory API」は、タブレット端末向けの新版である「Android 3.1」に搭載される。米Motorola社のタブレット端末「XOOM」で間もなく利用できるようになる見込み。スマートフォン向けの「Android 2.3.4」にも、Android 3.1向けとほぼ同じAPIを提供する。Google社のスマートフォン「Nexus One」や「Nexus S」で利用できるようになる。

 基調講演では、エクササイズ用室内バイクにAndroid搭載スマートフォンを接続する実演が行われた。また、木製の迷路を傾けてボールが穴に落ちないように脱出するゲームをタブレット端末で操作する実演もあった。迷路とタブレット端末はADKを介して接続されており、タブレット端末を傾けると、それと同じように迷路が電動で傾くようになっていた。会場のロビーでは、巨大な迷路で同様の実演が行われていた。

GDDに展示したロボットがきっかけ

 アールティが提供するADKは、Android搭載端末と接続するための入出力ボード「RT-ADK」とセンサなどを搭載した付属ボード「RT-ADS」からなる。価格は3万円(税抜き、米国から同社に直接発注する場合は380米ドル)。Android Open Accessoryに対応した周辺機器のプロトタイプ開発に利用できる。また、Android搭載端末によるメディア・アートや初心者向けの電子工作にも使えるとする。

 RT-ADKは、オープンソース・ハードウエア「Arduino Mega 2560」をベースにしている。Arduinoは標準ではUSBクライアントにしか対応しておらず、USBホスト機能は外付けになる。そこで、RT-ADKではArduinoにUSBホスト機能を追加した。USBホスト・コントローラは米Maxim社の「MAX3421E」である。

 RT-ADSには、ジョイスティック、押しボタン 3個、フルカラー対応LED 3個、静電容量式タッチ・センサ(Androidロボットの形をした金属部分)、照度センサ、温度センサ、リレー 2個、サーボ用端子がそれぞれ搭載されている。これらを利用してさまざまな動作確認ができる。

 アールティがGoogle社にADKを提供することになったきっかけは、2010年9月に東京都内で開催された「Google Developer Day 2010」で、ブリリアントサービスと共同で開発したAndroidで動作するロボット「RIC android」を展示したことだという(Tech-On!の関連記事)。「Arduinoも扱っていたことから、Google社にADKの開発を依頼された」(アールティ 代表取締役の中川友紀子氏)。

 アールティは、同社のロボットにADK経由でAndroid搭載スマートフォンを接続し、スマートフォンでロボットを操作する実演を行った。また、ブリリアントサービスは、LEDを利用した野菜工場とスマートフォンをADKで接続し、スマートフォンから各色ごとのLEDの明るさを変える実演を行っていた。