野村総合研究所(以下、NRI)は2011年4月8日、震災復興に向けた5つの緊急提言に関する記者説明会を開催した。第4回の提言に当たる「震災による雇用への影響と今後の雇用確保・創出の考え方」では、震災1年後、同6年後の各産業の従業者数を推計している(ニュースリリース)。それによると、岩手県、宮城県、福島県の沿岸地域の従業者数は被災直前の77万3300人から、震災6年後には8万1500人減って69万1800人なるという。

 減少数が最も多いのが製造業従事者である。震災直前の12万人から、震災1年後では10万5500人、6年後には8万2300人に減る。震災直前と比較した6年後の減少率は31.4%に達する。

 この試算は、阪神・淡路大震災で被災した兵庫県の神戸市と西宮市の産業別従業員数を震災前後で調べ、その増減率を今回の震災の被災地域に単純に当てはめたもの。NRIでは、「非常に粗い試算だが、雇用や産業に対する影響を考える際に指標になる」としている。ただし、阪神・淡路大震災当時と比べて、震災の影響がなくても生産工場を海外に移転するケースが増えているので、減少率がさらに大きくなる可能性も否定できないという。

 なお、5つの提言の第4回以外のものは、第1回提言「2011年夏の電力供給不足への対応のあり方」、第2回提言「東北地域・産業再生プラン策定の基本的方向」、第3回提言「被災者登録・住所把握による地域コミュニティ維持」、第5回提言「総合的な減災対策の推進」である。