Jason Ziller氏
Jason Ziller氏
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 米Intel社は、最大10Gビット/秒と高速のインタフェース「Thunderbolt(開発コード名はLight Peak)」を開発、パソコンおよび周辺機器メーカーに対して対応チップセットの提供を開始した。既に米Apple社が、ノート・パソコン「MacBook Pro」の外部インタフェースとして採用済みだ(Tech-On!の関連記事)。Thunderboltは、今後どのようなアプリケーションに使われていくのか。Intel社でThunderboltを担当する、Intel Architecture Group、Director、Thunderbolt Planning/MarketingのJason Ziller氏に、話を聞いた。


――「Thunderbolt」という名称を付した理由は?

Ziller氏 我々は元々、光インタフェース技術として「Light Peak」を推進してきた。光信号を扱うという意味で、Light Peakはとてもいい名称だった。しかし、顧客の要求から、同じソリューションで電気信号を扱う必要に迫られた。このため異なる名称作りを新たにスタートした。その中で、光(light)という言葉を含まない名称として、「Thunderbolt」に変更することになった。


――Thunderboltでは、電気信号も扱うインタフェースとなっている。何故、光から電気に置き換わったのか?

Ziller氏 当初は光信号を扱う技術として提案していたが、最終的に、顧客のコスト要求に合わなかった。このため、電気配線で信号を送るインタフェースに変更したのである。

 電気配線で10Gビット/秒という高速信号を扱う場合には、ボード上で放射電磁雑音などの問題も大きくなる。このため、高速信号を扱う配線をできるだけ短くするように、ThunderboltのコントローラICとコネクタの間の距離を、できるだけ短くするなどの対策を施している。

 ただし、光信号を扱う機能は、依然として重要だと思っている。特に、長距離伝送する場合に必要になる。このため、Thunderboltの長距離伝送用には、光ケーブルを別に用意する。この光ケーブルは、プラグの部分に工夫を施すことで、光信号を扱えるようにしてある。


――光ケーブルのプラグを工夫しているというのは、どのようなことか?

Ziller氏 プラグ側に、光送受信モジュールを組み込んでいる。この部分で、電気信号を光信号に変換して伝送する。このほか、クロック・データ・リカバリ回路や、信号増幅回路などのアクティブ素子もプラグ側に組み込んだ。こうすることで、ノート・パソコン側は大きな変更なく、光ケーブルを差し込むだけで光信号による長距離伝送を実現できる。光ケーブルは、こうしたアクティブな部品を含むため、比較的高価になるかもしれない。光ケーブルは、2011年後半に提供を開始する予定だ。

 こうしたソリューションは、パソコン・メーカーなど顧客にとって受け入れられやすいだろう。光送受信モジュールをパソコンのメイン・ボードに実装することなく、インタフェースの光化を実現できるため、パソコンのメーカーはコストを低減できる。ただし将来的には、光送受信モジュールをノート・パソコンのマザーボード上に実装する場合も出てくるだろう。こうなると、光ケーブルはあくまでパッシブなもので済む。